今年のWCSロシア代表選考会の優勝者は、アニメ『トリニティ・ブラッド』のキャラクターを演じたペア =アントニオ・フラゴソ撮影
今年の「日の出」の参加者と観客は早朝から、会場のコンサートホール前に 長蛇の列を作ったが、彼らは待った甲斐があった。参加者も観客もスポンサーも、昨年より一段と数が増えた一方で、肝心のコスチュームもレベルアップし、コスプレイヤーの“使命感”も大いに増していたからだ。
大会の裾野も広がり、今年は遠く、ロシア中央部のウファ、隕石で一躍有名になったチェリャビンスク、カザン、ニジニ・ノヴゴロドなど全国各地からアニメと漫画のファンが馳せ参じた。
「コスプレに凝り出したのはここ1年くらいですが、東洋の文化にはもう5年ほど前から興味をもっています」と、参加者の一人で大学の上級生であるドミトリーさんは言う。「今年のフェスティバルはずっと大規模になりました。去年は優勝者が日本に行けるとは誰も信じませんでしたが、本当に行けちゃいましたからね」。
「セーラームーン」が火付け役
モスクワのビジネスセンター「ジャパンハウス」の遠藤伊緒里社長は、ロシアのコスプレ流行の背景についてこう説明する。
「ロシアでは、コスプレ文化が日本のソフトパワーとして強いと思います。もともと10年前ぐらいに「セーラームーン」が初めてテレビで放映されたのがきっかけで、その頃からアニメ・漫画文化への興味が出てきました。個人的な意見ですけど、一般的に、日本とロシアのエンタメは似てる部分があり、楽しみ方も似ているのではないかと思います」。
席が足らずホールに入れなかった人たちも、退屈はしなかった。ロビーで日本のオムライスやカクテルで“明るいエネルギーを充填”し、特設の“冥土カフェ”に入ったり、プロのカメラマンに写真を撮ってもらったり、4Dワイドスクリーンの新しいビデオゲームを試したり、書道、将棋、囲碁のワークショップに参加したり、とプログラムは盛りだくさんだ。
書道、将棋、囲碁のワークショップも好評
囲碁クラブ「領域(テリトリー)」を主宰するドミトリーさんはこう言う。「囲碁のワークショップの参加者はいつも生き生きした興味を示しますね。ルールは単純なのに、すごく奥行きが深いので、囲碁を知りたい人が大勢やって来きます」。
要するに、フェスティバルは大成功で、参加者たちにはたくさんの鮮やかな思い出と新しい友達ができた。
今年のWCSロシア代表選考会の優勝者は、アニメ『トリニティ・ブラッド』のキャラクターを演じたペアで、彼らが、今年8月に名古屋で開催される世界コスプレ・サミット(WCS)国際コンクールに出場する。選考にもれた参加者たちは、ロシアのコスプレイヤーの本場でのパフォーマンスを固唾をのんで見守ることになるだろう。
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