村上春樹の新作さらに20万部増刷

12日に発売開始された『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の発行部数は早くも80万部に達した。=ImageForum撮影

12日に発売開始された『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の発行部数は早くも80万部に達した。=ImageForum撮影

村上春樹の新作長編のブームは加熱する一方で、彼の愛読者たちは本屋の書棚を文字通り空にしていく。4月15日、出版元の文藝春秋は緊急に20万部増刷を決めた。これで12日に発売開始された『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の発行部数は早くも80万部に達した。

 ベルマン演奏の『巡礼の年』もブーム 

 村上ファンは同時に、楽器店などでディスクも漁っている。目当てはロシアのピアニスト、ラザール・ベルマン(1930~2005)の演奏による、フランツ・リストのピアノ曲集『巡礼の年』だ。村上の新作長編の主人公が絶えず耳を傾けるこの曲は、作品で重要な意味を担っている。ディスクの発売元Universal Music は既に追加生産を決めたと発表している。

 ちなみに、『巡礼の年』は、ベルマンの生涯においても特別な意味をもっている。彼は自分の回想録にこの名を付けたからだ。

 

 過去に向っての探求の旅 

 村上の新作の主人公は、「多崎つくる」という36歳の孤独な男性で、自分の過去の、意識されざる問題を解き明かすために、旅に出る。「色彩を持たない」というのは、彼の苗字に色を示す漢字が含まれていないからだ。彼の幼なじみの友達4人には、それぞれ苗字に色を表す漢字――赤、青、白、黒――が入っている。作品全体を通して主人公は、なぜ自分が、これらの「色つきの」友達との友情を保てなかったかを明らかにしていく。

 

 早く露訳が出ないかな 

 ロシアの読者には、『羊をめぐる冒険』、『ノルウェイの森』、『ねじまき鳥クロニクル』、『海辺のカフカ』、『1Q84』などの長編はおなじみで、ファンもとても多い。

 村上は時々、ロシア文化のモチーフを直接間接に用いることがある。例えば、『1Q84』には、アントン・チェーホフの『サハリン島』の言及、引用がかなり多い。これもまた、ロシアのファンの興味を掻き立てた。

 

フランツ・リストのピアノ曲集『巡礼の年』ラザール・ベルマンの演奏