=PressPhoto撮影
今年末までに、最終的な投資の決定期日、融資計画、融資条件を含む、プロジェクト実現のための主なパラメータや期日など、総合プログラムが承認される見込みだ。
合弁企業を設立することで、インフラ設備の共同使用から、「ヤマルLNG」プロジェクト範囲内でのLNG生産工場の能力増強まで、さまざまなシナジー効果を期待できる。また、「ガスプロム」のタンベイ・ガス田群と「ノバテク」のサルマノフ・ガス田で採掘される天然ガスの加工を、「ヤマルLNG」の年1500万トンから、年4500万トンまで大幅に引き上げることが可能となる。
ヤマルLNGの最優先販売市場は、アジア太平洋地域だ。ロシアの投資分析会社「インヴェストカフェ」のグリゴリー・ビルグ氏は、免税措置があれば、ヤマルのLNGは十分に競争可能だとみている。
「ヤマルLNG」の展望は
ロシアの外国為替取引会社「アリパリ」の主任アナリストであるミハイル・コルィロフ氏は、「ノバテク」にとってヤマル・プロジェクトはアジア市場に参入できる唯一のチャンスだと考えている。「北極の氷がとけることにより、主な販売市場となる東南アジアへのLNG輸送で、北極海航路を使える。紅海ルートよりも距離が2分の1短くなり、所要時間は20日以下となる。氷がとける過程についての深い知識を生かしながら、アジアへの参入を拡大しようとしている『ガスプロム』は、この分野で圧倒的優位に立ち続けることに変わりはないから、この共同事業の権益比率が修正されることはないだろう」。
「ガスプロム」にとっては、LNG生産プロジェクトに参加することで、ヨーロッパよりもガスの価格が高い中国、日本、東南アジア諸国などのヨーロッパ以外の国々に納入できるようにため、ガス供給の多様化という面でおもしろいと、「ランタ・バンク」のトレーダーであるセルゲイ・スタツェンコ氏は話す。
「『ガスプロム』経由でしかガスを輸出できない法律となっているため、合弁企業は『ガスプロム』を通じて製品輸出権を得る。アジア諸国には欧米よりも高い価格でガスの需要があるため、ヤマルのLNGはこの地域で顧客を見つけることができる。『ガスプロム』が50%以上の権益比率を保有する、『サハリン2』のLNG生産工場のガスについては、工場稼働前からアジアの顧客と契約が結ばれていた」。
*元原稿
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