国際熱核融合実験炉(ITER) =写真提供:iter.org
いずれは、地球上で石油が枯渇し、ガス備蓄が底をつき、鉱山資源もなくなる時が訪れるのだから、未来のエネルギー危機を防げるような代替エネルギー源を緊急的に探し、開発しなければならないということで、アナリストの意見は一致している。
世界で電力需要が高まり、原油価格が高騰する中、今もっとも注目されている再生可能エネルギーの開発競争により、状況は一変する可能性がある。
事実上の無関心
世界でさまざまな研究が進んでいるが、ロシアの研究者は、国際熱核融合実験炉(ITER)製造への積極的な関与を除いて、再生可能エネルギー分野にほとんどいない。ロシア政府は2009年、2020年までに再生可能エネルギーの発電の割合を、現在の0.8%から4.5%まで増やすという計画を承認した。これを他国と比べてみると、ヨーロッパの計画では2020年までに20%以上、一部EU加盟国は50~60%という数字を打ち出している。
これほど小さな割合にもかかわらず、ロシア政府の計画は恐らく実現しないだろう。ロシアの水力発電会社「ルスギドロ」は12月初め、ロシアの2020年までの再生可能エネルギーの割合は4%以下にとどまるとする報告書を発表した。
リサイクルされるゴミは7%だけ
モスクワで11月中旬、他のロシアの再生可能エネルギー開発プロジェクトについて話し合いが行われ、フィンランドの電力会社「フォータム」が進めようとしている、大規模なプロジェクトが発表された。これは日常ゴミから発電を行う発電所建設計画で(厳密にはこれは再生可能エネルギーにはあたらないが)、材木の切りくずやオリーブの種からでも電気を得ることができてしまう。
ロシアでは年間4000万トンのゴミが出ていて、うち90%はゴミ置き場に送られ、3%が焼却され、わずか7%しかリサイクルされていないことから、同社はロシアの潜在性が非常に高いと考えている。
ロシアには現在、再生可能エネルギー分野における独自の革新的開発品が、ほとんどない状態だと言える。
特別法も補助金も市場もなし
ロシア・ベンチャー企業革新製品需要刺激プログラムの総責任者、ゲオルギー・ゴゴレフ氏はこう話す。「市場がないからこのような状態になってしまう。市場があって、販売先があって、はじめてイノベーションが起こることは周知の通りだ。市場が生まれない理由は単純で、ロシアには他国のような再生可能エネルギー関連の特別法も、補助金のシステムもないことにある。補助のないエネルギーなどあり得ないことで、石油、石炭、ガス、原子力など、どこでも比率設定や補助金がある。エネルギーはインフラでもっとも重要な部分なため、先進国の中でエネルギーに補助金が出ない国は世界に存在しない」。
政治的意志いかんだが
ゴゴレフ氏は状況の打開は政治問題だと考える。「政治が積極的に動いたら、数年で状況が変わる」。これは、過去5年で再生可能エネルギー利用でトップに躍り出た、アメリカ、中国、ドイツ、インドの例を見れば明らかだ。
「ロシアではあまり関心を持っている人がいない。再生可能エネルギー法を作成しようと2回ほど動きがあったが、どちらも失敗に終わった。その後の2008年11月、電力法の一部条項が修正された。再生可能エネルギー法は存在しないが、ロシア政府には現在、再生可能エネルギーの補助金システムを法に盛り込む権利がある。このシステムは今作成されているものの、それが法に加筆されるか、実際に機能するかという問題は残っている。全般的なエネルギー市場の変革が求められているのだ」。
*オリジナル記事(ロシア語)
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