ナタリア・ミハイレンコ
日本の有権者は、消費税の増税、原発の維持、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加、米国との軍事政治同盟(および軍事基地に関するすべての協定)、官僚の政治支配など、不人気とみなされるあらゆるものに賛成する票を投じた。
自民党は、期待しうる最大限のものを手に入れたと言えよう。同盟を結ぶ公明党とともに、同党は、議席の3分の2以上を獲得し、参議院のあらゆる議決に対し拒否権を行使できる、衆議院における絶対多数を確保している。
もっとも、公明党は、前回の敗北の雪辱を果たしたが、すっかり自民党の付属物と化した感がある。同党には、独自の支持者はいても、独自の政治色はない。
第二の勝者は日本維新の会
第二の勝者となったのは、54議席を獲得した日本維新の会である。日本のメディアは、この結果を同党の幹部にとって期待はずれとみなしているが、まさに日本維新の会の台頭が、保守勢力の勝利を確実なものにしている。
民主党の獲得議席は、2009年8月30日の選挙後の五分の一、今回の選挙前の四分の一にとどまった。同党の幹部は、すでに敗北の責任を認めたが、敗北ではなく、同党が政治的存亡の危機にあるというべきだろう。民主党は、自民党に対する実効的かつ長期的なオルタナティヴになれなかったばかりか、日本維新の会を三議席上回りはしたものの、「第二党」のステータスを維持することすらできなかった。民主党には過去に輝かしい未来があったが、現在は悲惨であり、もしかすると未来はありえないと言えよう。
民主党は存亡の危機
一方、日本維新の会には過去はほとんどなく、良好な現在と有望な未来がある。次の選挙まで「第二党」であり続けるのは、まさに日本維新の会だろう。おそらく、民主党にはまもなく離党の動きがみられ、一部の党員がほかの党へ移る。自民党は論外としても、日本維新の会はそのうちの何人かを喜んで受け入れるかもしれない。
同様に惨敗を喫した日本未来の党にも、未来はない。選挙直前に結成された同党は、原子力、消費税増税、TPPに反対する有権者の受け皿たらんとしたものの、存在感を発揮することができなかった。
日本未来の党とともに沈んだ小沢一郎氏
同党の敗北によって、同党を自身の政治基盤として利用しようとした小沢一郎氏の政治生命は絶たれたと言えよう。小沢氏にはもはや自主的な政治活動を行うチャンスはなく、同氏と手を組もうとする者もおそらくいまい。
社民党も惨敗し、衆議院の議席をかろうじて維持したにすぎない。これも、みんなの党の躍進と同様、保守圧勝の構図の一部をなしている。
領土問題めぐる変化は期待薄
安倍晋三氏は、露日関係の改善を首相として解決すべき課題の一つに挙げ、「領土問題を解決して、平和条約締結に至ればいい」と述べた。
周知のとおり、現政権との間では、日本の首相が来年一月末にロシアを訪問することですでに合意に達している。安倍氏は、今のところこの合意を確認していないが、破棄するとも述べていないため、ロシアはそのつもりでいる。
ロシアは、日本の次期政権が、ロシア政府の立場、ロシア社会の気運、専門家らの意見を考慮しつつ、相互に受け入れ可能な問題の解決をめざす現政権の姿勢を受け継ぐよう願っている。とはいえ、当面はこの面での目に見える進展は期待できまい。
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