12月24日、モスクワ都心のサハロフ・アカデミー会員大通りでのデモに集結したモスクワ市民=マックス・アブデエフ撮影
大統領は目下敵なし
今年最大の出来事はやはり大統領選挙だ。プーチン氏が予想通り勝利した。
サプライズもあった。その一つは、政界のアウトサイダーでもある企業家ミハイル・プロホロフ氏が3位に食い込んだことだ。その理由は、社会がニューフェースを求めていることだという見方で専門家は一致している。
プーチン大統領の支持率は昨年から今年前半は地盤沈下したものの、それでも他の政治家よりは高い。最低を記録したのは今年8月の37%で、秋には45~50%に持ち直した。10月の地方選挙での効果的キャンペーンのほかに汚職摘発も影響しているとみられる。
野党は大抗議集会
わずか数カ月の間に、数万の人々が街頭に出て政府批判を叫ぶという大きな社会変化も起きた。
2011年12月4日の下院選挙の当日、野党勢力が夜のモスクワの街頭に繰り出したのを発端として抗議集会が首都で相次いで開かれた。
ボロトナヤ広場での抗議集会(参加者は警察発表で2万5000人、主催者発表で15万人)、サハロフ通りでの集会(同3万人、10万人)など抗議運動が立て続けに展開された。さらには人間の鎖がサドーボエ環状道路をぐるりと囲んだ。5月6日には、デモ参加者と警官の衝突に至った。
一連の抗議運動の結果、政党法が改正されて政党設立が著しく容易になった。10月の地方選挙では数十の新党が選挙に参加した。主要都市では与党に敗れたが、専門家たちは、本当の戦いはこれからだ、と確信している。
高官の汚職摘発続く
数人の高官が相次いで汚職がらみで罷免された。特に大統領の側近だったセルジュコフ国防相が軍資産売却に際しての巨額詐欺事件で更迭されたことは大きな反響を呼んだ。ロシア独自の衛星測位システム「グロナス 」(ロシア版GPS)開発者も別の事件で罷免された。
9月にウラジオストクで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)サミットでも捜査当局によると、開催運営費から9300万ルーブル(約2億4200万円)が横領された。
東にシフトする外交
ロシアはアジアかヨーロッパかの問題に関しては、プーチン大統領いわく「ことさらに何もする必要はなく」、ロシアの東方への方向転換は進行している。APECサミットも収まるところに収まった形だ。メドベージェフ首相が「まだ半分は眠っている」と力説した交通・輸送のロシアの潜在力をいかに実現するかが重要な問題だ。
WTO加盟
ロシアが1993年に申請を行っていた世界貿易機関(WTO)への加盟が今年8月にようやく実現した。加盟の是非に対する議論はいまだに続いている。ただ、世界銀行の予測では、加盟によって長期的にはロシア経済は11%成長するという。ロシア企業の生産性と競争力が高まる一方で、関税引き下げにより商品とサービスの価格が下がるためだという。
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