安倍次期首相がモスクワとの親善を約束

=Vostock Photo/ロイター通信撮影

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安倍晋三氏は、軍隊を復活させ、中国には厳しく対応し、クリル(千島)問題を解決する意向だ。

日本では、16日(日曜日)に行われた総選挙で480議席中294議席を確保した自民党が4年ぶりに政権復帰する。野田佳彦・現総理率いる民主党は、わずか57議席にとどまった。

 野田首相は出口調査の結果をうけて、「敗北の責任をとって辞任する」と表明した。

 野田首相に代わって登場するのは、政治家家系出身の安倍晋三氏、58歳だ。安倍氏の祖父は首相をつとめ、父は外相だった。安倍氏はすでに2006から2007年にかけても首相になったが、首相職にあったのはわずか一年だった。今回、安倍氏は、12月26日召集の特別国会で首相に選出される。

 12月16日に党代表の辞任を表明した野田佳彦首相は、対ロ関係の改善に少なからず努力した。さらに野田首相は、クリル(千島)問題の調整を試みるため、首相としてモスクワを訪問することを大いに期待していた。今後、バトンは、安倍氏に引き継がれる。

 “タカ派”と平和条約 

 安倍氏には、領土問題に対する強硬姿勢により(日本は、すべての隣接国との間に領土問題をかかえている―編集部注)、「タカ派」の評判がある。もっとも、ロシアに関しては、領土問題を最終的に解決し、平和条約を締結することをつよく望むと発言した。

 「プーチン大統領が再選され、私も首相になる。私たちは日本とロシアの関係を改善していく」と、最初の選挙結果発表後に、安倍自民党総裁は述べた。

 安倍氏の具体的なロシア訪問日程はまだ明らかでない。

 柔軟性を発揮できるか 

 「彼にとって何かの合意に達する唯一のチャンスは、柔軟性を発揮することだ」と、ロシア科学アカデミー日本研究センター長のワレリー・キスタノフ氏は考える。「たとえば、4島すべてを一括返還せよとの要求を離れて、1956年の共同宣言で述べられている、平和条約締結のかわりにロシアが歯舞、色丹の2島を引き渡すことを目標にするなどだ」。

 日本は、4島すべてを望んでいるが、中国との対立の激化により困難な立場にあり、味方を必要としていると、キスタノフ氏は指摘する。

 まず米国との関係改善めざす 

 「とくに中国の力の増大を考えれば、日本にとっては、米国、ヨーロッパ、ロシアとの関係を改善する以外の道は何も残されていない」と、日本学者である高等経済学院上級教員のアンドレイ・フェシュン氏は解説する。

しかし、第一に日本の努力が向けられるのは、伝統的なパートナーである米国との協力であり、ロシアとの協力ではない。だから新首相の最初の訪問予定国は、まさしく米国である。彼には米国との関係強化が必要なのだ。

 「安倍氏の立場は明白で、第一に中国に対抗するために、米国とのきずなを深めることだ」と京都大学教授の溝端佐登史氏は解説する。「しかし、きっと韓国も同様に、竹島・独島問題での日本の立場がより厳しくなるのを感じ取るだろう」。

 国防軍創設の構想 

 安倍氏の構想の一つに、日本の自衛隊を国防軍にするという考えがある。第二次世界大戦での敗戦後、日本は軍隊をもつ権利を失い、それは憲法第9条に明記されている。日本には自衛隊があるが、自衛隊は攻撃行動をとることができない。安倍氏は幾度となく、憲法を見直し、国防軍を創建しなければならないと発言してきた。

自衛隊関係者もそれに賛同している。海上自衛隊関係者の言葉によれば、中国、台湾と論争になっている尖閣(魚釣島)諸島周辺情勢の緊張化のあと、中国船がたえず日本領海に侵入し、日本は、中国船を領海に近づけないためのパトロール船が足りないのだという。

構想倒れに終わる恐れ 

 もっとも、憲法改正には、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会がこれを発議したのち、国民投票などで過半数が必要となっている。どちらも手続きは長期にわたり、容易ではない。したがって近いうちに日本の国防軍が現れるのを期待する意味はないだろう。

それに安倍晋三氏は、構想のうちの、何か大きな問題を実現できるものだろうか。結局のところ、現在の日本の選挙は、さほど人気がなかった。国民の大多数は、めまぐるしい首相交代に疲れており、日曜日に投票したのは、国民のわずか40%で、しかも若者は事実上、投票所に来なかった。

この道はいつか来た道… 

 「安倍氏がその攻撃的な政治プランに取りかかれるのは、経済問題を究明できた場合だけだろう」と溝端佐登史氏は考える。

 今のところ安倍氏の前には、野田佳彦首相が処理できなかった諸問題が残されている。それは円高であり、対GDP(国内総生産)比200%にのぼる国内債務であり、不況、津波・地震被害の一掃であり、原子力の復興または廃止の問題だ。しかも原発廃止は、ノーベル賞作家大江健三郎氏をはじめとする莫大な数の国民がこれを要求している。

 安倍氏はすでに、原発の利用は必要だと考えていると述べた。そうした考えは、日本の電力不足の条件下では十分に理にかなうものだとしても、それによって国民間での安倍氏の人気が上がりはしない。安倍氏は消費増税からも決して逃げ隠れできない。それこそが野田首相にとっては最後の一押しとなり、過去数ヶ月にわたる野田首相の支持率を記録的に低い20%にまで押し下げたのだ。

*元原稿:http://izvestia.ru/news/541705