「UEFA欧州選手権2008」の準々決勝オランダ戦で駄目押しの3点目を挙げたアンドレイ・アルシャビンと喜び合う選手たち =AP撮影
日本にまさかの敗北
日本と韓国で共同開催されたFIFAワールドカップ2002はロシアにとって悪夢以外の何物でもなかった。
組み合わせ抽選でそれほど難敵のいないグループHに入った。4チームの顔ぶれはベルギー、チュニジア、日本だ。ところが、対日本戦で0-1でよもやの敗戦。日本は稲本潤一が決めたゴールで決勝トーナメントに進出した。ロシアは次のベルギー戦でも敗れ、予選敗退となった。
特に日本に負けたのは大ショックで、モスクワの都心では、憤激したファンが車を引っくり返す騒ぎとなり、代表チームのオレグ・ロマンツェフ監督は辞任した。
それ以来、露サッカーの「ルール」は変わった。もっぱら外国人の監督、選手を頼るようになった。一番の変化はサッカー界の金回りがすごく良くなったことだ。
金回りが良くなった
1990年代にスパルク・モスクワ」は日本のAKAIのロゴをつけてプレーしていたが、今や露石油会社「ルクオイル」の赤と白のエンブレムが選手たちの胸を飾っている。
世界最大の天然ガス企業「ガスプロム」はサンクトペテルブルクの「ゼニト」の大口スポンサーになっている。
モスクワCSKAは石油成り金のロマン・アブラモビッチ氏率いる「シブネフチ」社がスポンサーだったが(氏はイギリスの「チェルシー」のオーナーでもある)、今はアエロフロートがスポンサーになっている。
名選手がロシアに
2002年からロシア・リーグは「ロシア・プレミアリーグ」とイギリス風に名を改めた。
「モスクワ」のゼネラルマネージャー、ユーリー・ベロウス氏が外国人選手移籍に果敢にトライし、ポルトガルのフィーゴらを自チームに移籍させようとした。その後、きら星のごとき面々が移籍してくるようになった。
ロシアのサッカーファンは実際にスタジアムで、ブラジルのロベルトカルロス(39)や、カメルーン出身のサミュエル・エトー(31)を目の当たりにできた。
ロシアのファンも何億円というギャラの額に腰を抜かさなくなった。ちなみに、エトーのギャラは年俸約20億円だ。
この10年間で、ロシア・プレミアリーグは有能選手の見本市に変貌した。日本選手も例外でない。
松井大輔(トムスク市の「トム」)と巻誠一郎(ペルミ市の「アムカル」)はロシアを去ったものの、本田圭佑はモスクワCSKAのミッドフィールダーとして、チームの要となっている。本田の実力に、イタリア・セリエAのラツィオなども触手を伸ばしてきたが、CSKAは引きとめた。
UEFA杯優勝
金回りが良くなるとともに、戦績も向上し始めた。「ゼニト・サンクトペテルブルク」は2007〜08年のUEFA カップとスーパーカップ2008で優勝した。代表チームもUEFA欧州選手権2008で、オランダ人のフース・ヒディンク監督の下で準決勝に進出しソ連崩壊後初めての好成績を収めた。
14年W杯に期待
今年、イタリアのカペッロ監督が代表チーム監督に就任した。当然ながら、UEFAチャンピオンズ・リーグだけでなく、ワールドカップ2014(ブラジル開催)での勝利が期待されている。
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