メドベージェフ首相 軍、NGOや人権について語る

=タス通信撮影

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12月7日、ドミトリー・メドベージェフ首相は、ロシアの5つのテレビ局との生中継インタビューで、過去1年間の成果を総括した。

クレムリンに帰還する可能性 

 ロシアのドミートリ−・メドベージェフ首相は、最近AFP通信と「ル・フィガロ」紙に対するインタビューで明らかにした内容を強調し、自身がクレムリンに帰還する可能性を否定しなかった。

「私はまだ選択肢を残しておくつもりです。まだ政治家として年老いたわけではありませんから」と彼は語った。

「それよりも大事なのは民意です。人々は私がクレムリンに戻ることを求めているでしょうか?私は民意に沿って進み、それを目安にしていきます」。

セルジュコフ全国防相を弁護 

 このインタビューでは国内問題に焦点が絞られた。なかでも特に注目されたのは、最近大々的に報道されている国防省の汚職疑惑に対する捜査だ。この事件では、アナトーリ・セルジュコフ国防省が辞任に追い込まれ、同省の契約先の国営会社から一連の逮捕者が出ている。

 メドベージェフ首相は、セルジュコフ氏を弁護し、同氏が有能な閣僚であったこと、そしてまだ告発されていない点を強調した。

「我々は軍の社会的地位を改善しました」とメドベージェフ首相は述べた。「2002年当時の軍の将兵の賃金は、現在の支給額とは比べものにならないくらい低かったのです。今、賃金は、既に欧州レベルに達しています」。

「汚職摘発は自分の政策の延長」 

 増大しているロシアの軍事費について理由を問われると、メドベージェフ首相は、2013年度国防省予算の2.1兆ルーブル(約5.6兆円)は、医療と教育予算を合わせた額にも満たないと返答した。

 例えば、米国政府は、2013年度に8510億ドル(約70兆円)を国防予算に充てている。メドヴェージェフ首相は記者団に対し、「ロシアは誰に対しても戦争を始めるつもりは全くない」と断言した。

 国家戦略研究所所長のミハイル・レーミゾフ氏は、国防省のスキャンダルに関するメドベージェフ氏の発言について、「首相は、自分の大統領任期中の政治路線の延長として、現在、汚職防止に取り組んでいることを強調したかったのでしょう」と、ヴズグリャド・デイリー紙に対して語った。

 NGOの「外国エージェント」法案 

 最近、与党「統一ロシア」が次々と可決し、その矛先は政府反対勢力に向けられたものであると広く認識されている「一連の不可解な法案」についてコメントを求められると、メドベージェフ氏は、NGOに関する新法を引き合いに出した。

 この法律は、資金源を海外に持つ非営利団体が、自らを「外国のエージェント」であると宣言することを義務づけるものだ。これは、「スパイ」の婉曲表現であると一般的に捉えられている

 「これは、1930年代の米国の法律を借用しました」とメドべージェフ氏は説明した。「このモデルが時代遅れであるかどうかは、一概には言えません」。

首相は「エージェントとは代表者を意味するのです」と説明したうえで、用語に関係なく、「海外から資金援助を受ける団体は、いずれにせよ規制の対象になるでしょう」と付け加えた。

「社会の息の根を止める」 

 ロシアで最も長い活動期間を誇る人権団体「モスクワ・ヘルシンキ・グループ」の代表、リュドミラ・アレクセーエワ氏は、インターファクス通信の取材に対し、首相は「これはいい法律だと考えている」が、同意できないとし、「この法律は、社会の息の根を止めることを目的としているのです」と述べた。

 メドベージェフ氏は、サンクトペテルブルクを含む複数の自治体で今年可決された、「同性愛のプロパガンダ」を禁止する法律が、連邦レベルで立法化されることはないだろうと指摘した。

「モラルや慣習など、人間関係のすべてが法的な行動規範の対象とされるべきではありません」と首相は述べた。

ジャーナリストを標的とした襲撃について 

 メドベージェフ首相は、ジャーナリストたちを標的とした襲撃について、いくつものやっかいな質問に答えなければならなかった。12月5日、国営ロシアテレビ局系列の地方局でニュースキャスターを務めるカズベク・ゲッキエフ氏は、北カフカス連邦管区のカバルダ・バルカル共和国で銃殺された。

 「ジャーナリストが殺害されたということは、これらの無法者たちは、一般市民も殺害の対象にするようになったということです」と首相は述べた。「犯罪者は処罰しなければなりません」。

 2年前に「コメルサント」紙の記者オレグ・カシン氏がモスクワで残虐な襲撃を受けた際にも、メドベージェフ大統領(当時)は、犯人は処罰されるべきだと述べている。しかし襲撃犯は未だに逮捕されていない。

 12月7日のインタビューで、メドベージェフ首相は、カシン氏の襲撃犯は裁判にかけられなければならないと強調した。

「私はすべての情報を把握していません。それは機密事項ですから」と彼は述べた。「調査は進行中です」。

「当局も政治手法を改善すべき」 

 「私が知る限り、私のケースは調査されていません」と、オレグ・カシン氏は、メドベージェフ氏のインタビュー終了後まもなく、「コメルサント」紙に対して語った。「少なくとも、そう語るメドベージェフ氏がきまり悪く感じたことを望んでいます」。

 ロシアで活動するジャーナリストたちが直面するリスクについて、「独立テレビ」のアレクセイ・ピヴォヴァロフ氏が質問を引き継いだ。このインタビューの5時間前に、同僚のパーヴェル・コストマロフ氏とともに現在の政治状況についてのドキュメンタリーを制作しているピヴォヴァロフ氏は、家宅捜索を受けた。捜索したのは、モスクワで5月6日の反政府集会において発生した警察当局との衝突を調査中の捜査官だった。

「なぜ朝来なければならなかったのか、理解に苦しみます」とメドベージェフ氏は語った。「“法の番人”も含めて、誰もが政治手法を改善すべきです」。