モスクワのJ-Fest開催

毎年2日間にわたって開催される、恒例の日本文化の祭典「J-Fest」では、衣装をまとったロシア人の若者たちがアニメ、ダンス、食文化、ファッションなどを大いに楽しんだ。

今年で4回目 

カツラをつけ、マントをまとい、鮮やかなカラーコンタクトを装着した1万8000人のロシア人の若者たちが、モスクワで12月1〜2日に開催された今年度のJ-Festに集い、日本文化を堪能した。今年で4年目を迎えるこの祭典は、従来より大型の会場で催され、ストリートダンス、マスタークラス、カラオケに加え、ファンが衣装をまとってキャラクターに扮するコスプレなど、プログラムは一層充実。

このイベントは、モスクワ市、京都精華大学や国際交流基金の協賛により日本大使館が主催した。

伝統文化からサブカルチャーまで 

コスモス・ホテルのロビーにファンが押し寄せるなか、「アニメ、ファッション、コスプレ・・・。これらは過去3年間を通じて、毎年テーマとなっています」と語るのは、日本大使館広報文化部の石瀬公使参事官だ。「しかし、今年はサブカルチャーとポップカルチャーだけでなく、現代日本文化に関するものなら何でもテーマにとり上げることにしました」。


バーチャル茶会で興奮 今年新企画のイベントには、漫画を描くマスタークラス、囲碁や日本の菓子などがある。来訪者は、ミステリー・ホラー小説『リング』著者の鈴木光司氏による講演のほか、沖縄の「ちゅら」ダンスグループによる上演や、ハローキティやピカチュウなど、日本を代表するキャラクターの展示会「キャラクター王国」も体験することができた。

バーチャル茶会では、来訪者は、京都精華大学の鈴木隆之氏がiPadを通じて供するお茶とお菓子をバーチャルに味わった。

「お茶会は、一期一会。出会いは1回きりしかないという心構えが必要です」と、下で繰り広げられるお茶会を上階のバルコニーから眺めながら、鈴木氏は語った。「しかし今日では、モスクワと東京の人々はいつでもインターネットを通じて会うことができますね」。

来訪者は、鈴木氏が挨拶するビデオが流されているiPadの前の座布団に座り、お茶会に参加していた。彼の左側では、黒い衣装をまとった2人の人物(鈴木氏によれば、彼らは文楽の人形遣いらしい)が湯のみにお茶を注いでいた。

「すごいですね!」と叫ぶのは、頭部しか見えない鈴木氏と出会ったあと、興奮で少し手が震えていた18歳のジーマ君だ。「スカイプを使ってできればもっとよかったのですが」。

日本語で歌うオタクたち 

上階のカラオケ室では、アニメファンの若者たちが日本語の歌を大声で歌っていた。「彼らはテレビシリーズや映画の歌をほとんど知っているんですよ」と、主催者のスヴェトラーナ・アレクセーエワ氏は話す。

第2回全ロシア・コスプレコンテストには、地区大会を勝ち抜いた若いパフォーマーたちが集っていた。めいめい工夫を凝らした衣装をまとった出場者は、舞台で30秒間の時間が与えられる。コンテスト優勝者の賞品は日本旅行だった。

「ゴシック・アンド・ロリータ」部門では、若い女性が様々な女性のキャラクターを生き生きと表現していた。出場者の1人は、スカーレット・オハラ風の赤いドレスを身にまとっていたが、もう一人はレトロ調で、60年代の旅行客に扮しながら、「雪解け」の時代に流行った映画「モスクワの通りを歩いて」のメロディーを歌っていた。

「サーベルを差して来たら入場させてくれなった」 

入場待ちの列をなす若者たちのほとんどは、購入したか自分であつらえたコスチュームを着ていた。厚底靴を履いた18歳のナースチャさんは、危なげにバランスをとっていた。紫色の箸がアップされた黒髪のてっぺんを飾る一方、彼女の肩にはミニチュアの恐竜ティラノサウルスの骨格が載っていた。「男の子は、扮装する人もいるけど、ほとんどは見に来るだけよ」と彼女は言う。

「去年はサーベルを腰に差して来たら、入場させてくれなかったんだ」と語るのは、黒のシャツとズボンに身を包んだ若い男性だ。「だから今年は何の扮装もして来なかったよ」。

ほとんどの入場者は10代後半から20代前半だったが、中には、周囲にかまわずに自分の世界に入り込んでいる年配の来訪者もいた。ある母親は、19歳の娘が行列に並んで、イメージチェンジの順番を待つ間、ソファに座っていた。「楽しそうでいいんじゃないの」と彼女は言う。「私は本を持ってきたからいいのよ」。