「世界の食糧事情は望み無きにしも非ず」

国際連合食糧農業機関(FAO)と国際連合世界食糧計画(WFP)のロシア常任代表であるアレクセイ・メシュコフ氏 =ミカエル・パラッジ撮影

国際連合食糧農業機関(FAO)と国際連合世界食糧計画(WFP)のロシア常任代表であるアレクセイ・メシュコフ氏 =ミカエル・パラッジ撮影

国際連合食糧農業機関(FAO)と国際連合世界食糧計画(WFP)のロシア常任代表で、在イタリアおよび在サンマリノ・ロシア大使館特命全権大使であるアレクセイ・メシュコフ氏が、世界の食糧事情と2012年の自然災害の影響についてRBTHに語った。

FAOは世界の食糧事情をどのように評価していますか。穀物や肉の市場は今年の自然災害で、やはり相当なダメージを受けたのでしょうか。 

確かに今年の主要生産国のトウモロコシ、大豆、穀粒の不作は、ある程度影響していますが、数年前に起きた食糧危機ほどではありません。その理由は2つあります。1つ目は世界の米の生産量が非常に高い数値を示していることで、2つ目は去年の豊作の備蓄分が残っていることです。FAOは今年の状況が困難であることを強調していますが、絶望的なわけではありません。危機に陥らないように、あらゆる努力が続けられています。一方で、農業生産品市場には、価格の高騰と投機売買に関心を持つ投機師がいますから、FAOの現実的な統計を用いて、正しい状況を把握する必要があります。

長期的な観点から言えば、課題は簡単ではありません。世界で飢えている人を減らすことはできましたが、食糧危機の年などが影響し、わずかな人数にとどまりました。現在は9億人もの飢えている人がいます。2050年までに、世界の農業生産を2倍に増やして、世界人口の90億人(推定)を食べさせるという課題があります。課題は農業生産品だけではなく、漁獲や海中養殖の分野、水、森林、社会・経済的状況の問題などに関連する包括的なものです。

これらすべてにおいて、ロシアは非常に活動的です。FAOはロシアの食糧事情を安定的と評価していますし、先進国と同じレベルにあります。ロシアは今のところ食肉の純輸入国ですが、鶏肉を中心に確実に自給自足に向っています。穀物については、ロシアは世界有数の生産国になりましたし、その傾向は変わっていません。FAOはロシアを、食料品生産が伸びている国のひとつと見なしています。食料安全保障の議題は、ロシアが議長国を務めるG20でもG8でも、優先プログラムのひとつになっています。

 

-現在、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国)の常任代表の相互関係が、国際組織で強まっています。FAO本部でも同様ですか。

もちろんです。FAOでは常任代表レベルで、BRICSの緊密な相互活動が常に維持されています。ジョゼ・グラツィアーノ・シルバ氏(ブラジル出身)がFAO事務局長に選任された際に連携したことは、象徴的な例です。2人の候補者がいましたが、無記名投票で2票多く獲得したBRICS代表者が勝利しました。

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