寒冷地技術売り込み

Lori/Legion Media撮影

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北海道企業がセミナー

10月17日の極東ハバロフスク市中心部。ハバロフスク日本センターは冷たい雨模様とは裏腹に人々の熱気に包まれていた。それは北海道の企業による寒冷地技術や商品を紹介するセミナー・商談会だった。

朝9時40分すぎ、外套姿のロシア人が日本センターに続々と入ってきた。日本の寒冷地技術に興味を持ち、セミナー参加を申し込んでいた地元の企業人や行政、経済団体の関係者である。

事前に用意していた席が足りず、会場の大会議室に急きょ追加の椅子が運び込まれる。地元マスコミ3社を含めて約60人が参加し、定刻の10時にセミナーが始まった。

北海道副知事のあいさつに続き、極東商工会議所のボストリコフ会頭が「当地と気候の似た北海道の技術プレゼンは皆様にとって有意義」とスピーチ。次いで日本側からの説明に移った。

最初に北海道の気候や住宅・道路状況について日本人がロシア語で説明。参加者はじっと聞き入っている。

次が各社のプレゼンだ。ハバロフスクでの自社PRに参じたのは道内に拠点を置く8社。扱うのは吹雪による雪害を防ぐ防雪柵、防寒仕様の作業用手袋、住宅用の配管システム、融雪用マットなどいずれもロシアの厳冬期にも対応できることをうたった技術だ。

各社ともロシア語のスライド資料を使い、通訳付きで5~10分程度の説明を続けた。

途中、山本博志日本センター長が会場をのぞいた。何度も日本のプレゼンに立ち会ってきた同氏は「ロシア人は自分の興味あるプレゼンが終わるとすぐ帰るものですが、今日は途中退席がほとんどないですね」とつぶやいた。

特にテレビCMなどの広報はしなかったが、会場は人で埋まった。集客の背景にはハバロフスク州政府による全面協力があった。

州政府と北海道は、行政府同士の交流会合で毎年顔を合わせる仲だ。今春、北海道がビジネスイベントの開催を持ちかけ、州政府が支援を快諾した。

これに州政府と日常的にパイプの太い日本センター、さらに極東商工会議所も参加。それぞれが地元企業にイベントを宣伝し、参加申し込みの窓口にもなった。

日本側からもハバロフスク周辺企業をリストアップしてメールを送り集客に努めた。

セミナーは正午すぎに終了。昼休みをはさんで午後2時から企業ごとの商談会に入った。事前申し込みの他にも飛び込みの面談希望者が相次ぎ、午後4時すぎまで、面談待ちのロシア人が途切れることはなかった。

今回のセミナー・商談会の特徴は、北海道側が内容を「建設関連の寒冷地技術」に絞った点にある。

北海道は札幌こそ真冬の最低気温がマイナス10度前後だが、内陸の街になればマイナス30度を下回る。ハバロフスクもやはりマイナス30度台になる。しかもハバロフスクではここ数年、商業施設やマンション、一戸建ての建設が増えており、建設需要が増えている。

株式会社北友の森田武夫社長は「数社から真剣に見積もりを求められた。さすがにすぐ成約とは行かないが、いい感触を得た」と満足した様子だった。

イベントを取り仕切った北海道未来総合研究所の加賀屋佳史事業部長は「盛会だった、で終わっては意味がない。目的は新たなビジネスを生み出すこと。これはスタートです」と語った。