日本主導で街づくり

Getty Images/Fotobank撮影

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ロシアの6都市で環境負荷の少ない次世代都市「スマートシティ」建設計画が日本の専門家の参加のもとで進められている。 この計画は総合設計事務所「日建設計」が主導し、日立製作所など日本の大手企業が参加している。モスクワの日本大使館で10月10日に開催された日露展示フォーラム「まちづくり:新世代のスマートシティ」で全容が明らかになった。 ロシアの大都市では人口が急増し、これまでの環境・省エネ対策では限界がきているとして、日本の新技術を導入した新しい都市計画への期待が高まっている。

1か所で計画始動

ロシア最初の「スマートシティ」計画はサンクトペテルブルク近郊のセストロレツク市ですでに、日本企業が加わって動き出している。 

このフィンランド湾沿岸の保養地は、中国とシンガポールの共同プロジェクト「中新天津生態城」(天津市)、日本の「柏の葉キャンパスシティ」(千葉県柏市)に次ぎ、世界で3番目のスマートシティとなる。 

セストロレツクでは建物と街区の特殊な構造による省エネ技術、ソーラーシステムなどが用いられる。また、東シベリアのクラスノヤルスクでは独自の強風対策が講じられるほか、コンパクトな個人住宅ではシベリア伝統の装飾なども取り入れられる。他にもボルガ川沿岸のニジニ・ノブゴロドとボルゴグラードなど計6都市に同様の計画がある。 

都市政策曲がり角 

ロシアの大都市は人口が急増する一方で、さまざまな新技術が日常生活に導入されており、都市の運営に新たなアプローチが求められている。 

モスクワ市都市建設政策局のセルゲイ・レフキン局長は「建物の壁を厚くすることで暖房用のエネルギーを節約する、といったやり方はもう限界だ。今後の省エネは例えば、回収熱交換や代替エネルギーの使用などの新技術で実現されなければならない」と語る。

同氏によると、モスクワではすでに地熱を利用したり、空調による熱の回収などを行っている建物がある。ハイテク企業が集中するゼレノグラード区では下水道の熱を利用する装置が稼動しており、これらの装置で暖房熱の40%まで節約できるという。

省エネ、環境保護のテーマはロシアでも注目度が増しており、最近、エコロジー・インデクスが作られた。全国の環境汚染の度合いを測り、環境の回復に必要な投資額を算定して今後の安定成長の可能性を評価するというもの。世界自然保護基金ロシア支部、ロシア地理学協会、モスクワ大学などが作成した。 

モスクワ州知事でロシア地理学協会総裁でもあるセルゲイ・ショイグ氏は「これはたたき台として重要だ。今後、ロシアのどこに生産拠点を配置できるか、どこに自然保護区を設けられるか判断する際に参考になる」と述べた。 

 

日露で覚書締結 

日露展示フォーラムでは、ロシアの不動産開発企業3社が、日本のコンソーシアム(共同企業体)「スマートシティ企画」と協力に向けた覚書を締結した。この企画には日立製作所、清水建設、伊藤忠商事、東京ガスなど25社が参加している。 

ワーキンググループ議長の中村光男日建設計会長は「コンソーシアム設立の目的は、日本のイノベーション技術にもとづいてロシアの現実を考慮しつつ、快適な居住空間とビジネス環境を創出することだ」と述べた。 

また、国土交通省の中島正弘総合政策局長は、都市環境問題に関する日露フォーラム開催を提案し「このフォーラムは両国間のあらゆるレベルで協力の枠組みとなる」と語った。

ロシアにおける代替エネルギー

風力エネルギー

風力エネルギーの潜在性は約30%が極東、約14%が北部地域、約16%が西および東シベリアに集中している。

水力エネルギー

 

 小型の水力発電所が数百基稼働している。小規模水力エネルギーはバイオ燃料による火力発電と首位を分け合っている。 

バイオエネルギー  

バイオ燃料市場は形成され始めたばかり。小規模エネルギー経済に占めるバイオ燃料の割合は0.3%に過ぎない。

地熱エネルギー 

地熱発電所はカムチャツカとクリール(千島)列島にある。カムチャツカでの水蒸気熱の総電力は1ギガワットと評価される。