ロシア系アメリカ人有権者の動向は予測不可能

=AP通信撮影

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多くの人々は未だに、自由な企業活動と反共産主義を保守派と同一視するが、若者とメディケア(アメリカの高齢者または障害者向け公的医療保険制度)を利用する年配者は、やや“左向き”だ。

伝統的に共和党支持だったが 

 ロシア系アメリカ人社会は、政治的に、昔から共和党寄りとされてきたが、ソ連時代を知らない若い世代が投票する年齢になるとともに、変化し始めている。メディケアや社会保障などの行方を懸念する一部の高齢者も、共和党への長年の支持を見直しだしている。

「今、ロシア系の票はアメリカ国民の大半と似たような方向に流れている」そう語るのはモスクワの「アメリカ大学」の学長で創設者でもあるエドワード・ロザンスキー氏だ。

「最も成功し裕福な者は共和党を支持し、より所得の低い者と高齢者は、社会福祉をより重視するとされている民主党を支持する」。

 1976年に米国に移住したロザンスキー氏は、自身を保守的な共和党員と呼ぶ。しかし、ロシアNOWとのインタビューで、彼は、ロシアをアメリカの「第一の地政学的な敵」と位置づけた共和党候補のミット・ロムニー氏に投票することはできないと言った。

「残念ながら、ロムニーとオバマのどちらでも、大きな躍進が期待できるとは思わないが、ロムニートは、冷戦スタイルの対立になる恐れがある一方、オバマとなら、関係はより友好的なものになると思う」。

多様化するロシア系コミュニティ 

 今年の大統領選でのロシア系の動向に関するデータは少ないが、ロシア系をウオッチしている人によると、若い世代は、これまでロシア系の票を集めていた共和党を揺るがせ、かなりの割合がオバマに流れるだろうと指摘する。

 「若い世代は考え方が違う」と、ニューヨーク市南西部のスタテンアイランドで「シチズンズ誌」を編集しているイリヤ・ガラク氏(49)は言う。「彼らはアメリカの学校や大学で学んできた」。

 その親の世代は、「ソ連時代の生活を覚えていて、それと今を比較して、アメリカで多くを成し遂げてきたため、保守派を選ぶが」と彼は語る。

 「ブライトンビーチ・ニュース」の出版者兼編集長のアナトーリ・リフキン氏(45)によると、最近移住した人々は、共和党に好感を持たず、海外でのオバマ大統領の良いイメージに影響されている。米国のロシア系コミュニティには近年、中央アジアの旧ソ連圏から来たイスラム教徒も加われば、若い専門家も入って、多様化してきている。

「統一されたロシア系の票というようなものは存在しない」と彼は語る。

共通点はロシアのみ 

 2008年の国勢調査によると、ロシアコミュニティには、ロシア語を話す人々が300万人以上いるが、その政治的影響力は微々たるものだ。

 「おそらく、文化的、宗教的、イデオロギーの違いやその他の要因により、ロシアからの移民は、5つのグループに分裂していると思う」とロザンスキー氏は語る。「ロシア系はまとまっていないので、強力な統一された政治的な声を持たない」。

  しかし、ワシントンDCエリアに住み、「www.RussianDC.com」というウェブサイトを経営する実業家のエレナ・スタロセルスカヤ氏によると、「ロシア系アメリカ人はそれぞれ違った意見をもっているが、米露関係の促進と強化を望むことに関しては一致している」と述べた。