気軽にリッチなスポーツを楽しむ

ゴルフはエリート主義で、ゴルフ場へは限られた人しか入れず、ロシアの会員費は10万ドル(約800万円)で、1回のプレーは8000ルーブル(約2万円)ほどかかる。=セルゲイ・クズネツォフ撮影/ロシア通信

ゴルフはエリート主義で、ゴルフ場へは限られた人しか入れず、ロシアの会員費は10万ドル(約800万円)で、1回のプレーは8000ルーブル(約2万円)ほどかかる。=セルゲイ・クズネツォフ撮影/ロシア通信

モスクワでは、かつてはエリートのスポーツと考えられていたスポーツが普及しつつある。自動車レース、ゴルフ、セーリングなどを楽しむのに、どれだけの金額がかかるのか、またどのようにして国際大会に参加するのかなどを調査した。

自動車レース

サーキット場を訪れた私は、実際に車の助手席に乗ってみた。私たちの前に走っていた車のわきを、わずか数センチのギリギリの距離で通りすぎ、その車が濡れた道路でスリップして回転した直後の最初のコーナーでは、とても気分が悪くなった。2つ目のコーナーでは、車を止めてくれと叫びたくなる衝動にかられた。3つ目のコーナーで、ようやく落ち着くことができた。自分で車を運転しているような気分になることを止め、コーナー前で足に力を入れて架空のペダルを踏むことを止め、運命と運転手を完全に信じればいいのだ。

初めてレースに参加する人なら、誰でも体験することだ。私の場合、ヘルメットを入手し、レース参加に関する合意書に署名をし、大学時代の仲間のエゴールに乗せてもらうよう頼むだけで十分だとわかった。エゴールには、レースに参加するための簡単な規定に沿った自動車と、私たちが参加するルシアン・ホット・ハッチ・チャンピオンシップのサイトの登録が必要なだけだった。アマチュア自動車レースには、思ったよりも簡単に参加できる。

競技には、モスクワからカザンまでのさまざまな国内レース場の、10段階ある。参加料は1人3000ルーブルから7000ルーブル(約7800円から1万8000円)。もっとも高い大会は、ヴォロコラムスク通りの新しいレース場、モスクワ・レースウェイで行われる。

参加料に下限はあるが、上限は参加者の意欲次第だ。参加しているのは主にモスクワの中流層の管理者と、その車だ。例えばエゴールの車は、簡単な半導体付きエンジン(1万6000ルーブル=約4万2000円)搭載で、特注ホイール(3万ルーブル=約7万8000円)付きのシュコダ・ファビアII 1.4T RSだ。あとは毎年2万ルーブル(約5万2000円)がタイヤ代として必要である。

パドックには、より真剣にレースに参加する人もいる。そういった人々の車は、運転手用の座席と強化リブがあるだけの特別仕様で、コーナーリングの最適な軌道を計算しながら、サーキットで長い間議論できる。本気で勝負に挑もうとしているため、どこで数秒縮められるかなどで悩み、その報酬としてカップやメダルを受け取るのだ。プロでもアマチュアでも、サーキットを走り始めればアドレナリンが出まくる。それでみんなが虜になるのだ。

ゴルフ

ゴルフはエリート主義で、ゴルフ場へは限られた人しか入れず、ロシアの会員費は10万ドル(約800万円)で、1回のプレーは8000ルーブル(約2万円)ほどかかる。ここに来ると、「世界の契約の90%はグリーンで結ばれるんです」とか、「ゴルフに手の届かない日本人ビジネスマンは、ここに来てお昼を食べて、ゴルフをやる人間だと後で思ってもらえるように、ゴルフ・グローブをはめて日焼けをしていきます」とか、ゴルフ倶楽部の建設費用は、近くに位置する不動産より20%ほど高いとか、そんな話をさりげなくされる。

モスクワには、エリート主義のゴルフ場以外にも、普通に解放されているゴルフ倶楽部が20カ所ほどある。ロシア・ゴルフ協会の計算によると、ゴルフをマスターするのに2万4000ルーブルから4万8000ルーブル(約6万2000円から約12万4000円)ほどかかる。

必要なのはポロシャツ(700ルーブル=約1800円)、特別な防水シューズ(2500ルーブル=約6500円)、ゴルフ・クラブ一式だ。ゴルフ・クラブ一式にはクラブが14本入っていて、プロが持っている物だと25万ルーブル(約65万円)ほどする。初心者には、1万ルーブルから1万8000ルーブル(約2万6000円から約4万6000円)の中古のセットで十分だろう。

中流倶楽部でスクールに入ると、プロのトレーナーが6レッスンして1万5000ルーブル(約3万9000円)、格安倶楽部だと6000ルーブル(約1万5000円)ほどだ。あとは「打ちっぱなし」で自分で5回強の練習が必要となる。ゴルフをマスターしたかどうかを計るには、ハンディキャップ用テストを受けなければならない(7000ルーブル=約1万8000円)。これは実力を示すプレーヤーの独特なランクで、これがないとまともなグリーンでプレーすることはできない。さらに、ゴルフ協会に2000ルーブル(約5200円)の会費を支払う必要がある。

それ以降はより価格がお手頃になる。大会参加費は3000ルーブル(約7700円)、友人と休日にゴルフをするのは2500ルーブル(約6500円)、フォームを維持するために「打ちっぱなし」で平日練習する費用が500ルーブル(約1300円)ほどだ。18歳以下の子供は、どの倶楽部でも無料でプレーできる。ゴルフは未来の顧客を育てることを忘れないのだ。

セーリング

自分がセーリングに合うかどうかを確認するために、手始めに一般の乗客としてセーリングをしてみることが必要だ。ロシアでは、何人かで共同で数人乗りのヨットを借りるグループを見つけることができるので、そういった人々に加わってみることだ。2人用船室のあるヨットは、1週間で1000ユーロ(約10万円)ほどで借りることができるため、この時間で十分に海の様子を知ることができる。

船酔いを克服し、真剣にヨットに乗ろうと決意したら、船長と無線技士の国際ライセンスを取得しなければならない。世界では、イギリスの王立ヨット協会(RYA)(ロシアには営業所はないが、イギリスにはロシア語のスクールがある)と、アメリカの国際ヨット・トレーニング(IYT)(ロシアには30カ所ほどの営業所がある)の、2つの主要な標準が適用されている。IYTプログラムの20の授業のうち、60時間の理論コースは3万ルーブル(約7万7000円)ほどかかる。さらに地中海での1週間の実践コースを受ければ、ヨットを自由に借りられる船長になれる。

自分のヨットを購入する人もいるが(300万ルーブルから=約770万円から)、自分の使用分の数週間を予約して、すぐにチャーター会社に管理をまかせる。

これはすべて旅行にすぎない。本当のスポーツはボートレースへの参加から始まる。あらゆる種類や金額のレースがあり、無料のものもある。参加者によれば、ボートレースの感覚は自動車レースに似ているということだ。

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