移住するなら火星かも

=Shutterstock撮影

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宇宙へ行ってみたい、あるいは地球以外の星に移住したいというのは昔からの人類の夢だ。19世紀のSF作家ジュール・ベルヌがすでに宇宙旅行を小説に描いている。最近は地球から惑星に探査機が送られている。その結果、人間が生存できそうな惑星として浮上してきたのが火星だ。地球に最も似ていて、気圧が低いうえに、水が大量にありそうな状況が分かってきたからだ。ロシアでも、火星を移住対象として研究する動きが出てきた。世界に先駆けて人工衛星を打ち上げた国だけに熱が入る。20~30年後に火星旅行は実現するのか。最先端の研究者が何を考えているかを探ってみた。

ロシア大手ロケット宇宙企業「エネルギヤ」の社長兼設計総長のビタリー・ロパタ氏は火星が太陽系の中で唯一移住に適した惑星であると考えている。

最近モスクワで開催された第7回国際航空宇宙会議でロパタ氏は「金星の表面温度は約500度、気圧は地球の2倍近くある。火星は気圧が地球の100分の1ほど。また、十分な水があると考えられている唯一の惑星でもある」と語った。

ロシアはすでに火星飛行の乗組員の選考基準を作成している。ロシア科学アカデミー医学生物学問題研究所のアナトーリー・ポタポフ氏は長期有人飛行任務の実現のために、まず遺伝学的基準と医学心理学的基準を重視することを指摘した。

研究者らは国際宇宙ステーション(ISS)用のロシア実験棟で2010年6月から2011年11月にかけて行われた「火星500」実験の内容を活用する特別な医学モジュールを作る計画を立てている。

また、惑星間探査の準備で最初の課題は生命維持装置の精度を高めることだという。

生物の生存に不可欠な要素を完全に再生することのできる生命維持装置の製造には10年以上を要する。主な課題は酸素、水、食料の安定的な生成と、生命活動から生じる排泄物質の除去である。

「火星500」実験は人間の宇宙での長期滞在についての多くの知識を研究者に与えたものの、飛行条件のほんの一部しかシミュレーションされていない。

ロシア科学アカデミー医学生物学問題研究所のビクトル・バラノフ第一副所長によると、猿に宇宙レベルの放射線を浴びさせ、その影響を分析するなどの研究を行う予定であるという。

この問題の解決策は、人間の宇宙での長期滞在の問題を減らすものではない。

「火星500」では宇宙の無重力をシミュレーションしていないため、人間が長期間宙に浮く状態に耐えられるか、という問いに対する答えはまだ出ていないのだ。

一方で、人間が宇宙に長期間いると、骨量を失うという米国の調査がある。ISSに半年間滞在した宇宙飛行士13人の状態を観察したところ、飛行前と比べて、骨強度が平均して14%低下したことがわかった。

宇宙の長期滞在は乗組員に大きな心理的負担をもたらす。しかし、地球が乗組員にできることは限られている。火星の場合、地球から信号が届くのに40分もかかるため、一分一秒を争うような問題では、自力で解決しなければならないのだ。