日本の店、レストラン、会社を破壊する大規模な反日デモは、中国で1週間続けられている。=AP撮影
キャノン、ライオン、パナソニックは、中国での操業を一時的に見合わせ、全日空は、中国発日本行きの飛行便を複数キャンセルすると、月曜日から次々に発表した。中国国内の暴動に関連して、日本の自動車メーカーも販売店を一時閉鎖している。
中国の人民日報紙は、対立が激化したら、中国政府は日本経済に深刻な打撃を与え得る、経済的な対抗措置を取る可能性があると伝えている。
どのような措置なのかは具体的に記されていないが、産業、金融、輸出、「戦略的輸入」に制裁が課せられる可能性も排除できない。
経済戦争のシナリオ
ロシアの金融グループ「カリタ・フィナンス」のアナリスト、アレクセイ・ヴャゾフスキー氏は、日中関係が悪化すると、日本の損失の方が大きいという。「中国は、ヨーロッパやアメリカのみならず、日本にとっての『世界の工場』となってきた。日本企業はここ10年で、収益性が低く、労力を必要とする生産のほとんどを中国に移管し、日本国内には研究開発の割合が高い工場や、ハイテク品組立ての工場しか残していない」。
日本企業が中国の工場を完全に閉鎖しなければならなくなると、日本の輸出は大きな損害を被る可能性がある。ヴャゾフスキー氏によれば、これはすでに起こり始めている。今年7月の日中間の取引高は、昨年同月比26.5%減の9432億円で、日本の7月の対世界輸出額は、専門家が試算した2.9%減より大きい、前年同月比8.1%減だった。
「インヴェストカフェ」のアナリスト、アンナ・ボドロワ氏は、対立の結果、両国ともに敗北すると考えている。「中国政府が国内の反日ムードの広がりを密かに承認している間は、ビジネスが効率よく回らない。日中問題抜きにしても難しい世界経済の現状を考えれば、これは日本にとっても中国にとってもマイナスだ。これで敗北するのは日本と中国の両方。日本のメーカーは中国にある工場の生産計画を実行できず、製品納入がままならなくなるし、中国人労働者は職を失う」。
軍事衝突のシナリオ
専門家は、尖閣諸島をめぐる政治情勢が緊迫すれば、軍事衝突へと発展する可能性も排除できないとしている。その場合、優勢なのは中国側ではない。
「兵力なら中国は日本を上回っていて、中国の軍隊には通常250万人いるのに対し、日本には25万人しかいない。しかしながら、島をめぐる戦争になれば、海軍と空軍の戦いが中心になる」と「地政学問題アカデミー」のコンスタンチン・シフコフ第一副所長は述べた。
戦略・技術分析センターの専門家であるワシリー・カシン氏は、こう説明した。「日本の海軍はかなり強力だ。中国は軍事力をかなり増してきているが、戦術や兵士育成で日本のレベルまで高めようとすれば、何年もかかる」。
日本側にはもう一つの重要な優勢の要因がある。それは日米安保条約で軍事的関与が定められている、同盟国アメリカの存在だ。日本とアメリカを敵に回せば、中国がどのような結末を迎えるかという予測では、専門家の意見が一致した。
「アメリカが参戦すれば、中国空軍は約2週間でほぼ壊滅するだろう。また、簡単に中国軍と戦える、アメリカのロサンゼルス級原子力潜水艦が使われるだろうから、中国海軍も当然壊滅する」。
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