=ルスラン・スフシン撮影
=ルスラン・スフシン撮影
警察は、デモ参加者からの挑発行為を危惧し、一方、野党勢力の方も、最近の政治状況から、より厳しい当局の対応を予想していた。
8月17日、女性パンクグループ「プッシーライオット」は、今年2月の大統領選挙中に、プーチン氏を批判する歌を聖ハリストス大聖堂で歌ったかどで、禁固2年の有罪判決を受けている。
また、デモ前日の9月14日には、政権批判で知られるゲンナジー・グドコフ下院議員(中道左翼政党「公正ロシア」所属)が議員の身分を剥奪された。
「抗議には理由が必要です」
ところが、案に相違して、土曜日のデモ行進は平穏なまま終わり、同じようなスローガンやスピーチが繰り返され、「つまらなかった」という見物人もいた。
「このような抗議には理由が必要です。ただ単に、街に出て全てプーチンが悪い、と言い続けるわけにはいかない」。
こう語るのは、最近、与党「統一ロシア」を辞め、「革命」を観察することにしたという、社会学者のオリガ・クリシュタノフスカヤさん。
「デモが新しく、予想外だった頃はもっとエキサイティングでした。今は、参加者の年齢層が上がり、人々はまるで仕事に向かうかのような感じで参加している、とうちの研究者達は言っています」。
警察発表1万4千人、主催者発表10万人
警察発表によると、デモに参加したのは、最大で約1万4000人だが、共産主義青年運動の「左翼戦線」の指導者、セルゲイ・ウダルツォフ氏によれば、最低10万人が参加したという。ウダルツォフ氏は、「怒りを表す為に」黒のサングラスをかけ、壇上に上がった。
人々が分散し始めたデモ集会の終盤には、デモの指導者達は、プーチン大統領の辞任、早期の選挙実施や、5月6日のデモで逮捕された12人以上の釈放を要求する声明文を読み上げた。
土曜のデモのあと、何らかの挑発行為があったかと聞かれた警官は、匿名でこう語った。たしかに、そのような行為はあったが、「我々は挑発に乗りませんでした。何人か我々のところに来て嫌なことを言い始めましたが、我々は反応せず、黙々と職務を果たしました」。
参加者の顔ぶれの変化
冬から夏にかけて行われたデモでは、中流階級の若い人々が参加者の大半を占めたが、土曜日の集会では、参加者の顔ぶれに変化が見られた。
「私は公平さを求めるためにここに来ました。社会的公正です」。そう語るのは北方艦隊に勤務していた海軍少尉のアンドレイ・ネコソフさん。「プーチン政権交代に、大賛成です」。
次の大統領には誰がなるべきかと聞かれ、ネコソフさんは、「ふさわしい人はいますが、彼は私たちから“隠されて”います」と述べた。
軍人の参加者は、具体的な要求についてはやや寡黙だったが、ほとんどが社会公平を求めた。
「私は、あなたが今ここに立っているように、政府が目の前に立っているなら 、自分の要望を言うでしょう。しかし、私はそれを今言うつもりはない。私は、最高司令官と二人きりで話したい」。空挺軍に所属するエフゲニー・アルチョモフさんはこう言った。
10月の地方選挙が一つのターニングポイント
とはいえ、10月14日に行われる地方選挙は、昨年12月の下院選挙後に始まった、若々しい、都会のデモに、新たな命を吹き込むかもしれない、とクリシュタノフスカヤさんは言う。
「左翼戦線」のウダルツォフ氏は、次の100万人の行進は、10月20日に行われると発表した。それはちょうど、野党勢力の調整委員会の選挙と時期が重なる。この選挙は、長年にわたりバラバラであった野党勢力を統一させるかもしれないと期待されている。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。