テレビ番組の検閲

=GettyImages/Fotobank撮影

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ロシアのテレビは9月1日から、映画と番組を年齢別に分類しなければいけなくなる。テレビ局は18+などのマークを入れる準備を完了したが、論争はまだ続いている。一番冷静に構えているのは、当の子供たちだ。

視聴年齢をマークで表示し放送時間を定める 

2012年9月1日から、ロシア連邦法「児童の健康および発達に有害な情報からの保護について」が発効する。

他の多くの国にも同様の法律がある。この法律では、規定年齢に達していない児童に与えてはいけない情報を定めている。許可・禁止一覧には、約10項目ある。

同法によると、ロシアのテレビで放送される番組は、視聴年齢を、特別なマークで表示しなければならない。一定の番組は、放送時間も制限される。18+カテゴリーの映画は、夜11時以降にしか放送できない。

この新しい法律は、諸外国の類似のそれと基本的に変わらないが、これをめぐり、何ヶ月も熱い論争が交わされている。それでも、法案自体はロシア下院で可決され、すでに発効している。

古いアニメの喫煙シーンなどは、法にもとづき鑑定 

児童を「子供向きでない」番組から守るというアイデアそのものについては、法案に反対している人にも異論はない。問題はその詳細な中身だ。専門家によると、法律の規定が、無数の問題を引き起こすことにあるという。

わかりやすい例のひとつは、ロシア人のさまざまな世代が見て育った、古いソ連映画だ。

テレビで放送できないもの

4:00~23:00

- 麻薬、アルコール、タバコのアピール

- 浮浪、売春、賭博のアピール

- 暴力を正当化するシーン

- 家族観の否定

- 不法行為の正当化

- 罵り言葉

- ポルノ

7:00~21:00

- 暴力的な映像や表現

- 病気、自殺、不幸なできごとなど、子供に恐怖感やパニックを起させるようなシーン

- 卑猥なシーンの映像や表現

- 悪口雑言の言葉や表現

喫煙場面を映してはいけないというが、「チェブラーシカ」のワニのゲーナや、アニメ「よーし、今に見てろ!」(ロシアの「トムとジェリー」のようなアニメ)のオオカミはタバコを吸っている。

このような場合、テレビ局ができる対応は、その場面をカットするか、子供のアニメを大人カテゴリーに入れるかのどちらかに限られている。

「喫煙場面などのあるアニメは、法にもとづいて鑑定が行われます。アニメのそのエピソードを見ることによって、視聴者がタバコを吸いたくなってしまうと判断されたら、子供には見せられなくなります」と与党「統一ロシア」のセルゲイ・ジェレズニャク議員は述べた。

同様の問題は、他の国でも起きている。特にアメリカでは2003年、古いアメリカのアニメで、タバコやアルコール、また、政治的に問題となる、登場人物の人種や性別の描き方が規定に触れ、シーンが丸ごとカットされる事態となった。

「最後の言葉は親にある」 

ロシアのアニメはそこまでの事態にはならないという。ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ監督局の立場は次のようなものだ。

アニメ「チェブラーシカ」のような作品はロシアの文化財であり、いかなる規制もマーキングも必要はない。子供に何を見せて、何を見せないかは、親が決めることだ――。

いずれにせよ、現時点で論争に終止符を打つのは早すぎる。それぞれの問題ある状況について、議論をし、判断をしていけばよい。

すでに数週間、法の趣旨の観点から有効で、なおかつマスコミが受け入れられるような方法を選ぶべく、マスコミとの協議が続いている。

10月中旬には、監督局が1ヶ月半の新法の試験的採用の結果をまとめ、将来的な適用について判断を下す予定だ。

鑑定士の意見:リュドミラ・アイバル弁護士

子供の教育レベルや教育条件は、何よりも親に依存しています。検閲はそれぞれの親が決めるべきです。つまり、皆さん一人ひとりが、何を見ていいか、何を見てはいけないかを決定すべきです。 

残念ながら、アニメで悪い情報がなくなることはありません。テレビ番組以外にも、幼稚園、小中学校、家の外など、子供たちに影響を及ぼす場所はあります。

アニメの登場人物にタバコを吸うことを禁止しても、子供が遊び場に行って、ベンチに座ってタバコを吸っているママを見ることもあります。

子供にとっての有害な手本は、映画ではなく、子供の前でタバコを吸ってビールを飲むことを恥ずかしいと思わない親です。

これは検閲の問題ではありません。すべてが社会の問題、私たち自身がどう行動するかという、国民一人ひとりの問題なのです。

子供に小さい頃からモラルを教える必要があるというなら、何よりも先に家族的また社会的な価値や伝統を復活させることについて、話し合うべきです。