APECと食料安全保障

ロシア下院議員でもあるビャチェスラフ・ニコノフ氏 =PhotoXPress撮影

ロシア下院議員でもあるビャチェスラフ・ニコノフ氏 =PhotoXPress撮影

ウラジオストクのアジア太平洋経済協力(APEC首脳会議)サミットの一環として、パネルディスカッション「食資源:いかに70億人の食事を確保するか」が行われた。モデレーターを務めたのは、著名な政治学者で、ロシア下院(国家会議)議員(統一ロシア)でもあるビャチェスラフ・ニコノフ氏(56)だ。同氏にロシアと食料安全保障の問題について聞いた。

― ロシアが今年のAPECの議題として挙げた4つの優先事項のうちの一つは、食料安全保障です。ロシアは、どのような目標と利益を念頭に置いているのですか。 

1917年のロシア革命前、ロシアはヨーロッパへの穀物輸出国でした。 20世紀の後半には輸入国に転じ、21世紀の初めに、我々は再び輸出を始めました。

アジアは、長い間貧しかったので、輸出先として見られていませんでした。しかし、現在では、APEC最大の8カ国は、年間合計1億トンの穀類を輸入しています。これは、ロシアの総生産量よりも多いです。我々は、市場に参入し、近隣諸国から農業技術を誘致する機会を見逃すべきではありません。

 ― アジア市場にロシアが穀物を輸出する障壁は何ですか? 

 まず、港湾のインフラが整っていません。ロシア西部には、例えば、ノボロシースクやタガロークなどに、このような貨物を扱える港がありますが、東部にはありません。

 第二に、港へ穀物を運ぶ交通手段もありません。シベリア鉄道は、これだけの量の貨物を輸送できず、既存の道路にも限界があります。ですから、シベリア産の穀物であっても、輸送コストがかなり高くつくわけです。そして輸送コストは下がることはなく、高くなる一方です。

 また、物流の効率性の観点からすると、貨物がシベリア鉄道上、両方向に運ばれる必要があります。現在、ロシアのヨーロッパ部分からアジアへ穀類が運ばれていますが、逆方向は貨車が空なのです。そのため、コストがさらにかかります。

 ― 外国人労働者と技術を誘致し、ロシア極東の農業を改善するという話がでました。この計画は、今どの段階なのでしょうか。 

 非常に初歩的な段階です。

極東には、農業を発展させる潜在力があります。また、極東が、農業で自給自足できるようになるのを妨げる大きな障害もありません。

しかし、アジアへの輸出となると、これは将来、可能であるとしか言えません。ロシアは昨年、世界第二位の穀物輸出国でした。 APEC諸国は、世界の輸入穀物全体の37%~38%を占めています。それなのに、我々のシェアは、今のところゼロです。

 とはいえ、極東の農業は発展しつつあります。投資がなされ、外国人がロシアの農場で働いています。シベリアと極東で働く北朝鮮の労働者の話を聞いたことがおありでしょう。それと同時に、港湾のインフラを整える計画も進められています。

 

 ― その計画が成功した場合、アジアのどの国がロシアの穀物を輸入するでしょうか。 

人口の最も多い国々が、最も多くの穀物を買います。それは、中国、日本、韓国、ベトナム、タイ、フィリピンなどです。