=PressPhoto撮影
シュトックマンの開発プロジェクトが停止されたことは、「ガスプロム」の取締役であるフセボロド・チェレパノフ氏が伝えた。ノルウェーで行われた会議で、「今の開発の段階ではコストがかかりすぎるとして、全員の意見が一致した」と述べた。
世界で8番目の埋蔵量
シュトックマン・ガス田は、ロシア最大のガス田のひとつで、バレンツ海にあることが開発を困難にしている。埋蔵量はC1カテゴリーで約3兆9000億立方メートル、コンデンセートはC1とC2カテゴリーで約5330万トン。
ガス田の第1相開発の運営会社である「Shtokman Development AG(シュトックマン開発株式会社)」の権益比率は、「ガスプロム」51%、「トタル」25%、「スタトイル」24%。第1フェーズでは、投資額が120億ドルから140億ドルと試算されていたが、その後倍の300億ドルまで増加した。「ガスプロム」は、第2フェーズ開発と第3フェーズ開発を自力で進められると考えていたが、この段階でもパートナーを探すことを検討している。当初、三社は2013年から2014年にはガス田からの供給が始められると考えていたが、技術的な問題で参加者が合意にいたることができなかった。
露のエネルギー戦略に負の影響か
シュトックマン開発の停止は、世界のエネルギー資源市場におけるロシアの立場に、負の影響を与える可能性がある。ロシア経済発展省は、ロシアの天然ガスの輸出量と価格の予測を引き下げた。同省の悲観的な予測は、アメリカのシェール・ガスや、環太平洋地域の液化天然ガスの採掘量が増加すると予想されていることも影響している、とアレクサンドル・ノバク・エネルギー相は説明する。
「ガスの分野全般に対して挑戦が突きつけられている。また、いわゆる「シェール・ガス革命」、すなわち、かつては採掘が難しかったシェール・ガス(泥岩の一種である頁岩(けつがん=シェール)層に含まれる天然ガス)やシェール・オイルの採掘の新技術など、ここ数年、重要な変化が起きている。これらを考慮に入れて、現在、エネルギー戦略の見直しを検討しているところだ。シュトックマンは税制上の優遇措置を長く待ち過ぎた。主要な供給市場のひとつになるはずだったアメリカは、よりシェール・ガスに重きを置くようになってしまっている。『ガスプロム』は、ヨーロッパ市場を失わない方法を考えなくてはならない」。
シュトックマンは非公式に、「ガスプロム」の戦略的プロジェクトのひとつと数えられていた。その理由はふたつある。このガス田が、ロシアで4番目、世界で8番目の埋蔵量を誇っていることと、寒冷海域でのガス採掘分野で、最新の開発モデルと技術が試されるはずだったことだ。
金融危機後にらみ、新パートナー模索中
とはいえ、このプロジェクトは完全に凍結されたわけではない。1ヶ月前、「ガスプロム」のアレクセイ・ミレル社長は、シュトックマンの開発条件について、9月までに話し合いを終わらせると言っていた。
コメルサント紙によると、「ガスプロム」と、「スタトイル」と「トタル」とが折り合えなかったため、他の提携を模索していた。「シェル」と「エクソンモービル」との話し合いも行われたが、結果については明らかになっていない。
現在でも主要な問題となっているのは、困難な条件下での天然ガス採掘の技術的可能性だ。採掘作業そのものに限らず、採算の問題もある。「スタトイル」と「トタル」は、最適なビジネスモデルを見つけることができなかった。
投資会社「カピタル・ウプラヴレニエ・アクチヴァミ(キャピタル資産管理)」のアナリストであるビクトル・マルコフ氏は、このプロジェクトは投げ出されるわけではない、とRBC デイリー紙へのインタビューで語った。「ガス市場の価格が安定すれば、早ければ2、3年後には再開されるだろう」。
また、マルコフ氏は、ヨーロッパの金融危機の下で「ガスプロム」はリスクを冒したがらないらしく、今後のこのプロジェクトのパートナーは「スタトイル」と「トタル」にはならないだろう、と述べた。
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