ダゲスタン共和国で自爆テロ

=PressPhoto撮影

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ロシア南部のダゲスタン共和国で28日、多くの住民にイスラム教の指導者としてあがめられ、1万人以上の信者を抱えていた、サイード・アファンジ・アリ・チルカウィ師(74)が、自爆テロの攻撃を受け即死した。このテロは、イスラム教の異なる宗派の間で進められていた和解を、妨害しようとして行われたとの説もある。アリ・チルカウィ師は積極的に和解の必要性を主張していた。

中年女性が自宅を訪れ自爆テロ 

チルケイ・ブイナクスク地区の村にあるアリ・チルカウィ師の自宅で、28日午後5時頃、爆発が起こった。現在までの調べによると、「シャヒド・ベルト」と呼ばれる爆発物を固定したベルトを服の下に装着していた中年女性が、巡礼者を装って同師の自宅に入り、爆破装置を作動させた。

ロシアの捜査委員会によれば、爆弾の威力そのものは大きくはなかったが、破壊力を強める物質が充填されていた。犯人は、標的のアリ・チルカウィ師から数メートルの場所におり、今年10月に75歳の誕生日を迎える予定だった同師は即死した。

6人が巻き添えになり計8人死亡 

  犯人と師の他に、巡礼者4人、師の妻、両親と一緒にこの家に来ていた12歳の少年の計6人も死亡した。また、ここに居合わせた他の数人もさまざまな程度のケガを負った。

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事件から数時間後、同共和国各地からチルケイに人がかけつけ、死を悼んだ。アリ・チルカウィ師の死亡が伝えられると、同共和国のチルケイから遠く離れた多くの街や村でも、通りで人々が嘆き悲しんだ。同日夜9時には、指導者との別れにチルケイに約8万人が押し寄せ、地元のモスクや墓地は人で埋め尽くされた。

「天国の端にも近寄れない」 

ダゲスタン出身のリズバン・クルバノフ下院(国家会議)議員は、哀悼の意を表した。「アリ・チルカウィ師は、共和国に住む多くの人にとって精神的指導者だった。この死は恐ろしく、取り返しのつかない損失だ」。

クルバノフ議員によると、師は議員との会話のなかで次のように語っていたという。

「もし私の家に、私を殺そうと誰かが侵入してきても、騒ぎはしない。私がその人間の血に対して、あの世で責任を負うわけではない。その人間が私の血に対して責めを負うのだから」。

また師は、自爆テロの犯人たちについて、こう述べていたという。「そのような人々は、天国に行けると思っているが、天国の果てにだって近寄ることはできないし、その芳香すら感じることはできない」。

犯行の動機に関する主要な説の一つは、イスラム教の穏健派と過激なサラフィー派の和解を妨害する目的で、テロが行われたというものだ。この和解は、アリ・チルカウィ師が、個人的に支持を表明していた。また、テロにより、アリ・チルカウィ師の数千人の信者に武器を持たせるなど、混乱させる目的があった可能性もある。この事件は、それでなくとも平和からかけ離れた状態のダゲスタン共和国で、一層の治安悪化を招く可能性がある。

*記事の完全版(ロシア語のみ)http://kommersant.ru/doc/2010503