=PhotoXPress撮影
ロシアで「喫煙制限法」が採択されて、11年になろうとしている。ロシアは4年前に「たばこの規制に関する世界保健機関(WHO)枠組条約」を批准し、2年前にはウラジーミル・プーチン首相(当時)が、「反たばこ消費に関する政府構想」に署名した。
国民の半数近くが喫煙
それにもかかわらず、禁煙運動の主唱者の一人である、国際消費組合会議理事長ドミトリー・ヤーニン氏によれば、いろいろ対策はとられていても、ロシアは世界最大の喫煙国のままだとのこと。同会議の資料によれば、ロシアの男性の60%、女性の約22%が喫煙者であり、しかもその大半(85%)は、20歳未満でたばこ好きになったという。もっとも、世論調査機関「世論基金」はロシアの喫煙者数について、38~40%という、少しちがったデータを挙げていることは指摘しておこう。
中国に次ぐ世界2位のたばこ市場
「ロシアは、(比較にならない人口数にもかかわらず)中国に次いで、2番目のたばこ市場です」とヤーニン氏は言う。「したがって、たばこ製造会社が、保健省が策定した『たばこ消費被害からの国民の健康擁護について』の新法案を、機会あるごとに阻止しようとするのは不思議ではありません」。
しかし、実はこの法案はそれほど新しいものではない。ちょうど1年前にこの文書は、まだ省が改編される前の保健社会発展省の公式サイトに、討議用として公開された。2012年5月20日、一新した保健省指導部が政府に法案を持ち込んだが、2日後に法案は「未成熟」とされ、推敲すべく差し戻された。
たばこ生産者と小売店への影響
異議をとなえたのは、経済発展省、産業貿易省、農業省の3つの省だ。これらの省庁の見解では、厳格な禁煙は、たばこ生産者に悪影響をおよぼす。強力な、たばこ市場関係者(フィリップモリス、ブリティッシュ・アメリカン・タバコほか)からは、新法でたばこ販売を禁止される零細小売店の将来への懸念が表明された。ロシア国内にこうした零細小売店は約100万店ある。
「ロビイストらの手」
だが、政府附属専門家会議のメンバーである「実業ロシア」副会長アレクサンドル・オシポフ氏など、禁煙厳格化に賛同する人たちは、保健省の提案への抵抗のかげに、たばこロビイストらの「手」を見る(「実業ロシア」はロシアにおける4主要経済団体の一つ)。
「全体として、ロシア・ビジネスにとって禁煙は、有利というほかありません」と同氏は言う。「平均的な喫煙従業員は、平均して、1年のうち1ヵ月、たばこ休憩に時間を使う。人は、喫煙被害で死ぬ前に、残念なことに、さらに長く身体を病み、その治療に費用がかかります。その費用には雇用者のふところから出る分も含まれているのです」。
今秋、閣議で検討し下院に提出
「最終的に禁煙を目的とする喫煙制限は、世界の趨勢です」と、保健省の提案に賛同する人たちは、ヨーロッパを例に挙げて言う。「たとえば、今週の月曜日にスイスでは、大学や病院から美術館やカフェにいたるまで、すべての公共の場所での全面禁煙の問題が国民投票にかけられました」。
ベロニカ・スクボルツォワ保健相によれば、これに似たロシア版禁煙法案は、10月17日にふたたび閣議で検討され、了承されれば、下院(国家会議)に提出されるという。
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