「ソ連史」

刊行: 2011年

松戸清裕著、ちくま新書

アレクセイ・ゲルマン・Jr.の映画『紙の兵隊(邦題:宇宙飛行士の医者)』(2008年)を思い出していた。1991年末の崩壊から20年が経過し、ソ連に対する一般の関心は薄まっている。しかし本書は、ソ連社会主義に勝利した資本主義が大きな壁にぶつかっている今こそ、ソ連に注目する必要があると力説する。表題はシンプルだが内容はスリリングで、ロシア革命から大祖国戦争、冷戦、雪解け、停滞の時代、ペレストロイカ、ソ連崩壊までの歴史を、ニュートラルな視点から描き出している。そこにリアルな息づかいが感じられるのは、ゴルバチョフの回想をはじめ、当時のソ連国民の思いにも考えをめぐらせているからだろう。「ソ連」を総合的に再検討する時期がきている。

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