強くなった柔道

=ロイター/Vostock-Photo撮影

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 ロンドン五輪開始から12日で、ロシアは柔道男子60キロ級のアルセン・ガルスチャン選手、73キロ級のマンスル・イサエフ選手と100キロ級のタギル・ハイブラエフ選手が金メダルを1個ずつ獲得した。ロシアのスポーツ関係者は、メダル獲得の有力種目として柔道をリストアップしていなかっただけに驚きの結果となった。

 ロシア(旧ソ連も含め)がオリンピックの柔道でメダルを最後に獲得したのは出場ボイコット国が多かった1980年のモスクワ五輪だ。

 プーチン大統領が愛好する柔道だが、なぜこのように強くなったのだろうか。 

 多くの専門家は、イタリア人コーチのエツィオ・ガンバ氏を招待し、才能ある選手を肉体的、戦術的、精神的に勝利に向けさせたことが最大の理由だと考えている。

 また、ロシア柔道連盟やビタリー・ムトコ大臣率いるスポーツ省が積極的に関与したこともガンバ・コーチの手助けとなったとみられる。ガンバ・コーチは上級専門家として、またチームの状況を完全にコントロールする戦術家として、力量を発揮した。

 ランキングで上位に位置していない選手を代表チームに招き入れたことは不可解に思えたが、結果的には金メダルを3個も獲得したのだ。チームには練習しやすい良い空気も流れていたようで、どちらの金メダリストも勝利後、コーチに心から感謝の気持ちを述べていた。

 また、どちらの選手も本物の柔道家として、五輪金メダルのみならず、100万ドル(約8千万円)という高額賞金を手に入れる資格がある。 

 ロシアでは強いと見なされていない種目の場合、資金調達が非常に難しく、4年に1回しか開催されない五輪で勝利することがサッカー、アイスホッケー、テニスなどの選手と同レベルの収入を得られる唯一のチャンスなのだ。

 そのため、オリンピックの金メダリストに支払われる賞金額に対し、ロシアの一部のメディアなどが多すぎると反対することは、公平な反応とは言えないのである。
今回の両選手は、決勝でいずれも強豪とみられていた日本人選手を破って金メダルを獲得した。 

 特にイサエフ選手は決勝で中矢力選手に勝利したが、これまでも何度も中矢選手と対戦し、その都度敗れ、柔道の強さを見せつけられていた。この五輪という大舞台でイサエフ選手は難敵を負かすことができ、大喜びしたのはいうまでもない。

 イサエフ選手は表彰式後、ロンドン五輪で引き続きロシアの柔道が勝利するよう仲間を激励した。