写真提供:mn.ru
7月27日、景観設計フェスティバル「アルフストヤニエ」で行われた「ポリ管道路」のプレゼンテーションに先立って、両氏がこのプロジェクトの詳細について語り、エコの意識が高い、進歩的な人々が興味を持ってくれればと期待した。
ポリ管道路とは
プロジェクトの構想は単純だ。モスクワ環状道路の横断歩道を大型の高架道路にしたような感じで、プラスチックまたはアクリル樹脂の管状の覆いで囲われている。内部には、各方向に自転車用と歩行者・車椅子用が2レーンずつあり、1キロから2キロおきに駐輪場も設置されて、自分の自転車を置いたり、レンタルしたりすることが可能になる。
環境に優しく、照明や冬季の暖房には、屋根の太陽電池が使用される。また、自転車発電機での発電も可能だ。ウグリュモフ氏はこう語る。
「夜はモスクワ川の電飾にもなります。また、壁面をエコブランドなどの広告用に使用することもできます」。
ソ連時代にも構想
「ポリ管道路」のアイデアは新しいものではない。1985年、ソ連のエンジニアのポーリ・ライキンが発表している。 高架自転車専用道路を、1層または2層式にして、建物の3階から5階ほどの高さに設置するというものだった。
当時はコストがかかりすぎるという理由で、政府に認められなかったが、カナダのトロントでは、建築家のクリス・ハルドヴィク氏が同様のプロジェクトを作成し、同じく実現にはいたらなかったものの、大きく評価された。モスクワ都市基本計画研究所のセルゲイ・トカチェンコ所長が提案したアイデアもあった。
米国では既に実現
ウグリュモフ氏とペトロフ氏は、それらの人々がすでに作成したプロジェクトに手を加えた。道路自体の技術的特徴よりも、街のインフラにどれだけ組み込めるかを考え、結果的に、車道の上ではなく、モスクワ川に直接鉄骨を打ち込み、川に沿って水面より上に道路を作るということになった。これは街に負担をかけずに、道路の問題を解消できる。
「2000年代初め、アメリカのある街では、街の荒廃した土地をつなぐ同様のプロジェクトが実現され、3000万ドル(約24億円)ほどかかりました。今回のアイデアは優れていると思いますが、敷設の際に必要な許可をすべて得ることは不可能でしょう」とモスクワ自転車専用道路プロジェクトを立ち上げたアレクセイ・ミチャエフ氏は説明する。
批判―インフラ全般の整備が先決
社会団体「都市改造」のメンバー、アントン・ポリスキー氏はこう言う。「これはお金の無駄遣いです。ノルウェーやスウェーデンなどの北欧の国の実績を参考にして、インフラを一つひとつ改善していく必要があります。この二国には自転車用『ポリ管道路』はありません。ただ、立体交差点などの個別の場所で、覆いのある自転車用横断道路をつくることには、意味があるでしょう」。
一方で、ウグリュモフ氏は自身のアイデアを信じている。「もちろんリスクはありますが、このプロジェクトに賛同する人は必ずいるはずです」。モスクワ川の自転車専用道路の建設が車道建設と同等に考えられるようになれば、チャンスはあるとみている。そうなれば、あとはサイクリストと専門家次第だ。
(「モスクワ・ニュース」紙抄訳)
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