=AP撮影
玄葉光一郎外相が7月27日にロシアを公式訪問した。外相は、「領土問題は、日本の旧島民の人道問題でもある」と述べるとともに、ロシアのWTO(世界貿易機関)加盟が、日露関係発展の弾みになるとの期待を表した。
—あなたは、プーチン氏が大統領に再選されてからロシアを訪問された最初の日本の閣僚です。日本では、二国間関係の新たなスタートに対する期待が高まっていますか?
現在、世界経済の重心はアジア太平洋地域にシフトしつつあります。中国を筆頭に、ASEAN諸国がダイナミックな経済発展を遂げてきました。日本は、これらの国がもてる可能性を開花させるのに少なからぬ役割を果たしたと自負しています。私は、日露関係にも大きな展望があると確信しています。
— 実際、日露の経済関係は、かなり急速に発展しています。福島第一原子力発電所の事故のあと、日本は石油とガスの輸入を増やさざるを得なくなりました、ロシアは、日本のエネルギー市場においてどのような位置を占めることができるとお考えですか?
私は、ロシアのWTO加盟の波及効果に大きな期待をもっています。貴国で、投資環境が改善され、「法の支配」が強まることを期待しています。これは日露の経済関係をさらに発展させる弾みにもなるでしょう。
東日本大震災の後、日本は一貫して、エネルギーの輸入先を分散させる政策をとってきました。オーストラリア、アジア諸国、北アメリカなどからの天然ガスの輸入も、これに含まれます。我が国は、ロシアとのエネルギー分野での協力が発展することを期待しています。 とりわけ、ウラジオストクでの液化天然ガス(LNG)生産プロジェクトの実現や、「サハリン3」への日本企業の参加を通じて、協力関係が強まると確信しています。
— 日露間には、平和条約締結と南クリル諸島の問題に関して、大きな隔たりがあります。プーチン大統領は、この問題は、双方に受け入れ可能な妥協を通じてのみ解決することができる、と述べています。日本政府から、この問題に関連して何か新しいイニシアチブはありますか?
4島の帰属の問題をめぐっては、日露両政府の立場は異なります。これは、4島に対する単なる国家主権の問題ではありません。第二次大戦まで自分の故郷で暮らしていた、1万7千人の旧島民の人道問題でもあります。彼らは、終戦とともに、一方的に島を退去するように強制されたのです。
領土問題の解決のためには、日露両国は、信頼関係を醸成しながら、落ち着いた雰囲気の中で、国際法を含む法と正義に則りつつ、相互に受け入れ可能な解決方法を模索しなければなりません。ロシアが日本との領土問題を解決し、平和条約を締結するならば、ロシアは、日本との関係を恒久に固めることができると確信しています。 日本はロシアにとって、アジア太平洋地域で最も信頼しうるパートナーとなるでしょう。
— あなたはこれまでにロシアを訪問されたことがありますか?
初めて訪露したのは、1998年のことで、国会議員団の一員としてでした。2007年1月にも、モスクワで開かれた「アジア太平洋議員フォーラム」に国会議員団の一人として参加しました。開会セレモニーはボリショイ劇場で行われ、「白鳥の湖」と「くるみ割り人形」を観劇しました。私はその美しさにとても感動しました。クレムリンでの晩餐会でのロシア料理の味わいもよく覚えています。
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