=AFP/East News撮影
野党はそろって猛反対
ロシアの憲法裁判所はこれに先立って、議定書が憲法に準拠していると認めている。この後、WTO事務局にこの結果が報告され、約1ヵ月後には正式に加盟する見込み。
野党の共産党は、WTOへの加盟が、ロシアに悪い結果しか招かないと確信している。ニコライ・コロメイツェフ共産党議員は、国内農業やその他の分野の保護に関する規定が、法案にまったく記載されていないと指摘した。
極右の自由民主党も反対に回り、ウラジーミル・ジリノフスキー党首は「ロシアはWTOに無縁だ」と切り捨てた。同党首によれば、ロシアはモノを作ることはできても、売ることが下手だという。
同じく野党「公正ロシア」のミハイル・エメリヤノフ議員は危険な決定とし、次のような疑問を投げかけた。「今日のこの経済状態で、なぜWTOに加盟する必要があるのか」。
同議員は、WTO加盟が有利に働くのは、国内市場が活発で、競争力のある商品を生産している国だけだと主張。ロシアの非原材料輸出はわずか19%、自動車や設備の輸出にいたっては6%しかない。エメリヤノフ議員によると、WTO加盟により、2020年までにGDP(国内総生産)の3%を失う計算だ。
改革の呼び水になるのか
与党「統一ロシア」はこれとは逆に、WTOに加盟すればロシアの前に新たな可能性が広がると主張している。
下院の経済政策委員会のイーゴリ・ルデンスキー委員長は、国内のあらゆる分野に新たな波及効果をもたらし、経済の現代化の良い刺激となる、と反対派を説得しようとした。
ルデンスキー氏は、輸入品が安くなって、これまでにない上質の商品とサービスが提供されるようになるため、消費者も加盟の恩恵を受けられるとした。
しかしながら、楽観論者のルデンスキー委員長でさえ、ロシアの企業が新しい規則にしたがって経済活動を行うことに慣れていかなければならないため、最初のうちは苦労すると考えている。
理論的には、加盟により、ロシアの生産者が外国の市場に参入しやすくなり、不当な扱いを受けないようになるはずだが…。
経済発展省の皮算用
経済発展省のアンドレイ・ベロウソフ大臣は下院で発言した際、WTOに加盟した場合の経済効果を、2年で5000億ルーブル(約1兆2000億円)の歳入増になると述べた。一方、輸入関税の減額による予算の直接損失額は、2013年で1880億ルーブル(約4600億円)、2014年で2570億ルーブル(約6300億円)とした。
ただし、貿易額が増加すれば、課税標準が増えるため、実質的な損失はずっと低くなるだろうという。関税の平均水準は、2013年に9.5%から7.4%まで、2014年に6.9%まで、2015年に6%まで下がる見込み。
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