=ロシア通信撮影
「猫の共和国」という名のカフェがあるのは、サンクトペテルブルグの都心の静かな通り。カフェは二つのコーナーからなり、片方ではコーヒーや紅茶を飲み、もうひとつのコーナーには猫たちがいる。
「最初、コーナーは一つだけにして、猫たちがテーブルの間を自由に歩き回れるようにしたかった」と、獣医資格を持つカフェの女主人アンナ・コンドラチエワさんは言う。「日本で流行っている猫カフェのそんなやり方を真似ようとしたの。その後、店を二つに区切り、一つのコーナーには猫たちがいて、飲食は別のコーナーにした」。
猫カフェには、親子連れ、若いカップル、外国人グループ、年金生活者など、次々にいろいろな人たちが立ち寄る。「このカフェの第一の目的は啓蒙活動よ。猫の飼い主でさえ、自分が飼っている猫のことをあまりに知らないというケースによくぶつかる。猫はとても複雑でデリケートな生き物なの」とコンドラチエワさんは言う。
第二の目的は、ストレスで苦しむ都市生活者たちの動物による治療。「ここには、男性も女性も、いろんな年代の人がやってくる。家に動物のいない人がいれば、猫が好きでたまらないという人もいる。やって来た子どもが、この猫カフェではじめて本物の猫を見たというケースもある」とコンドラチエワさんは言葉を続ける。
猫カフェの客と猫たちとの交流は、カフェの職員がいるところで行われる。「この大理石模様の美しい猫がダナエ。ダナエは純血種だと思う人が多いけれど、雑種なの」と広報係のアンナ・チュグノワさんは、人と猫の間を取り持つ。「私にとって、このカフェは動物虐待予防の場所なの。それに休憩室から猫を家庭に引き取ってもらうための宣伝の場所。この国の人たちが、純血種だけでなく雑種の猫も家に引き取ってくれればと思う」とコンドラチエワさんは言う。
猫カフェの客の一人、女子学生のマリヤ・クリボシェーエワさんは寮住まいで、動物を飼うことができず、猫を撫でるために、カフェに立ち寄る。「ここは気持が落ち着くわ。快適で暖かくて、家にいるみたい」とマリヤさんは微笑む。8歳の男の子アントン君は、小さい黒猫のマレービッチと遊び、「猫は一番愉快な生きものだ」と言う。
昼になると、猫カフェの職員と客たちは、野良猫にエサをやるため中庭に行く。職員の一人、ユリヤ・ペヒナさんは、猫にエサをやりながら、「時々、野良猫が、開いた換気窓からカフェに入ってくるんですよ」と話す。
「モスクワ・ニュース」紙抄訳
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