シベリアに「第3の首都」を

ロシアは、経済発展の原動力を欧州からアジアに移し、本格的なシベリア・極東開発に向けて動き出す。この地域の発展を促すためには、アジア諸国からの投資を呼び込む必要がある。この目的実現のためには、この地域に第3の首都を置くべきとの議論が高まりつつある。
セルゲイ・カラガノフ氏( 60 )氏、
政治学者、外交·防衛政策公開協議会の幹部会議長

速度を上げつつ経済発展を牽引するアジアの機関車にロシアを連結させねばならないという考えが熟したのは、もうかなり前のことだ。それと並行して、新たなシベリア開発の必要性も。米国と西欧先進諸国は、すでに順調にこの機関車に連結した。

この地域に隣接するロシアだけが、シベリアの人口減少に頭を悩まし、中国の人的拡張におびえて、足踏み状態を続けている。

 この原因は少なくない。まず第一に、シベリアと極東は 20 世紀に、社会主義的な、なかばラーゲリ手法で開発されていった。第二の原因は、ロシア・エリート層が長年にわたり、時代遅れの西欧中心主義から抜け出せなかったこと、そしてアジアの経済的、文明的向上を過小評価したことである。

 新しいアジアに向けて舵を切る必要性は、プーチン、メドベージェフ両氏により2~3年前から語られ始めた。今も投資協力はほとんどないが、商業協力は活発になった。

そして、この半年のうちに、国営東シベリア極東開発公社設立構想が出現した。だがエコノミストらは、そんな公社は設立すべきでないと言い始め、特別省や副首相などの代案構想が現れた。ここでは、政治が立脚せねばならない諸原則を提示するだけにしておこう。

政治は、過去になされた復興から出発するのではなく、現在と未来によって提示される現実的な可能性から出発しなければならない。したがって、アジアとの貿易バランスの質の低下を嘆いたり、新しい工業化を繰り返し言ったりする必要はない。

ロシアのウラル以東は、数億人という廉価な働き手を提供する地域、そしてロシアよりも発展した国々から次々に部門を引き出せる地域に隣接している。

外の世界にとってザウラーリエ(ウラル以東地方)の、最大限に可能性のある経済的発見をもたらす条件を創出することだ。

すなわち、この地域を発展させるため、中国だけでなく、米国、日本、韓国、東南アジア、ヨーロッパ諸国も含めた外国からの投資を最大限に呼び込むこと。これらの投資のため、最大限の好条件を創出することである。

この地域の専門家や若者だけでなく、長く新世代を西側に押し出していく中部ロシアの若者のためにも、地域での生活と仕事の特恵条件を創出すべきだ。

シベリアを原料産出の半植民地と見る態度が強い。そうした態度を克服するために首都機能のいくつかを極東の都市に移すことを宣言しなければならない。

現代にふさわしくグローバルであり、アジア的に成功した国であるためには、ロシアには3つの首都が必要だ。政治と軍事・外交の首都はモスクワに、文化と法の首都はサンクトペテルブルグに、そして経済の首都は、仮にノーブイ(新)・ウラジオストクとでも名づける都市に置く。今秋ウラジオストクで開催されるAPEC首脳会議で、それを行う意向が表明されれば、ロシアへの国際投資を急激に上昇させるだろう。

シベリアへの首都移転は
 リクルーティング・サイトSuperjob.ruのリサーチ・センターが実施した調査によれば、全国での賛否はおおむね半々に分かれた。モスクワでは「移転反対」が過半数(55%)で、賛成派は36%だった。反対理由としては「金融経済と行政の機能分離は当たり前」「トルコ然り、スイス然り」、「モスクワは人が多すぎる」などがあげられた。

出典: Superjob.ru


「ロシースカヤ・ガゼタ」紙抄訳

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