=タス通信撮影
大統領就任式の後、独立の世論調査機関『レバダ・センター』は、クレムリンに返り咲いたプーチン氏に国民がどのような改革を期待しているかを調査した。
その結果、国民は大統領が政治的安定と経済的立場を強化し、国の国際的威信を高め、社会の安定と生活水準の向上を望んでいることが分かった。これらの項目はいずれも回答者の半数の支持を得ている。
だが、国民がそれ以上にプーチン氏に期待しているのは、国民の 70 %が賛成している政治・経済改革の継続である。
総じて国民が望んでいるのは、「是々非々」の姿勢だ。しかし、より詳しく分析すると、項目によって国民が求める度合いに差のあることがうかがえる。経済分野における優先事項は生活水準とインフレだ。昨年の物価上昇率は、ロシアにとって史上最低水準となる6・1%だったが、依然として有権者にとって最も深刻なものの一つである。
メディアグループ『ロスビジネスコンサルティング』のアナリスト、チモフェーイ・シャーツキフ氏はこう語る。「消費者物価の上昇は市民が肌で実感できる指標の一つ。市民はインフレの鈍化には心を留めず、ただ物価が上がったと感じる」。
公共サービスの問題も待ったなしだ。連邦国家統計局は、国民の大半は自分の住居の広さには満足しているものの、公共サービスの質や快適な生活に必要なインフラの欠如に不満を抱いている、とみている。
独立社会政策研究所のリーリヤ・オフチャーロワ所長は「住宅公益事業の状況は、国民と政府の溝を深めかねない問題だ。不満がかなり高まっており、人々は自分たちの日常生活の問題を非効率的な国の政策の結果とみなしている」と語った。
今年、公共サービス料金は地域によって3~25%値上がりし、国民はすぐに物価の上昇を感じるが、サービスの質の向上にははるかに多くの時間が必要だ。
国民は、汚職の取り締まりも重要な問題の一つとみている。国際政治調査研究所のエフゲーニー・ミーンチェンコ所長の考えでは、まず第一に「民主主義と正義」に対する要求こそが満たされなくてはならず、その具体策として、徹底した汚職の取り締まり、司法制度改革、政治分野のリベラル化を挙げている。
政治学者のニコライ・トロイツキイ氏はこう述べる。「 12 年前にプーチン氏が初めて大統領の座に就いた時、社会は民主主義的自由よりも安定を必要としていた。今は状況が変化しており、仮に対応が遅れれば、不満は募る一方になるだろう」。
財団『ペテルブルグの政治』のミハイル・ビノグラードフ会長は、プーチン氏の弱点の一つは、この 12 年間に大きな勢力に成長した若年および中年の有権者を取り込めなかったことにあると指摘する。6年後にプーチン政権を総括する際には、まさにこの勢力がキャスティングボートを握ることになろう。
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