政治危機を救える人物はいるのか

=ナタリア・ミハイレンコ

=ナタリア・ミハイレンコ

ロシアは修正不能な政治的危機の状態にあり、それに対処できる人物も政界にいないと、戦略研究センターは報告している。

選挙自体も、選挙後に都市部を中心に起こった政治的抗議活動も、ロシア社会全体を大きく動かすことはできなかった。社会経済問題という共通の不安が社会全体を覆っているのだ。こうしている間に、政治の安定を図ることや、経済を不況前の状態にまで回復させることが不可能になり、政治的危機は修正不能状態にまで進行してしまった。

戦略研究センターの社会学者らは、50以上の調査を集め、国内のさまざまな街で20以上のヒアリング調査を行い、このような報告をまとめた。

危機の特徴の一つは、あらゆる社会層で政権への支持が低下していることで、特に都市部の中流層にそれが強く現れている。この層の有権者はほぼ消滅しているとすら言える。

「現政権に反対する人なら、誰にでも投票します。右寄りで進歩主義的な自由を掲げ、現政権に不足しているものすべてを備えている反対派に票を投じることがもっとも重要なのです」とヒアリングを受けた一人は語った。

戦略研究センター

ロシアの改革を支持する目的で、1999年に設立された。国の政策に関し、政権と社会の対話の場を提供している。また、ロシア政府の活動に専門家として随行する。2011年、国会の選挙に対する国民の不満が増している問題について、政治報告書を二件作成した。

他の社会層にも政権への不満が見られた。山積している社会経済問題が社会をまとめる特有の要素となっており、異なる政治への期待と調和している。また、あらゆる層の面談者が、法治国家の強化や統治システムの現代化の必要性を強調しながら、しばしば中流層と共通する意見を述べた。もっとも多かった不満の一つは、「政治的構想のすべてが机上の空論にすぎない」というものだ。

報告書を作成した社会学者は、次のように語る。「社会は相変わらず似たような状態にあり、イデオロギー的には中間的、実利的、また変化に対して合理的な要求をしています」。

誰が変化を起すかという質問に対しては、社会学者の手元に答えはなかった。回答者は、政権にも野党にも不信感を抱いている。どこかの「超イデオロギー新大衆政党」が2012年の刺客になるかもしれないが、設立には数々の困難が待ち受けている。2000年初頭とは異なり、政権主導でこのような政党を上層部につくることは不可能だという。また、他の政治勢力の中でも、信頼を十分に得ている政治家はいないと社会学者は見ている。

最近、より期待されている政治家として名前があがっているのが、ミハイル・プロホロフ、ドミトリー・ロゴジン、アレクセイ・クドリン、アレクセイ・ナヴァリヌイだ。戦略研究センターは、社会の期待に応え得ることができるか、各政治家の潜在性を分析した。

ミハイル・プロホロフ(ビジネスマン、元大統領候補者)

プロホロフ氏は、現時点の小規模な政治的ニッチの枠を超えられないだろう。人数の多い反プロホロフ派の有権者が障害となっており、評価に改善の兆しが見られない。

 

ドミトリー・ロゴジン(副首相)

一面的な見解が、政治家としてのロゴジン氏の特徴となっている。これは、対外的な民族主義や防衛政策の枠を超えた議題については、うまく進めることができないことを意味している。

アレクセイ・クドリン(元財務相)

クドリン氏はロゴジン氏と同様、あまり政治活動家として認められないが、個性的で他にいないタイプだ。一般的には、経済や予算の分野の専門家で、経験豊富な活動家と見られている。面談者のほぼ100%がクドリン氏を知っており、そのうちの多くが同氏の専門性や経験を肯定的に評価している。反クドリン派は存在するものの、反プロホロフ派とは異なり、人数は少数であまり活発ではない。専門家らしく、イデオロギーの面では中間的なことが、政治において自己ブランドを築く前提条件となっている。

アレクセイ・ナヴァリヌイ (法律家)

ナヴァリヌイ氏はまだ政治主導者として確立はされていないが、多くの面談者が、実績、評判、成果などを積み重ねて行くことによって、魅力的な主導者になり得ると考えている。モスクワ以外ではまだあまり知られていない。ナヴァリヌイ氏を支持する理由に明確なものはなく、汚職防止運動も肯定的な評価の主要な要因とはなっていない。