シリア問題

「我々が支持しているのはシリア政府ではなく、シリア政府と武装反体制派の双方に向けられたコフィ・アナン氏の調停案だ」 =AP撮影

「我々が支持しているのはシリア政府ではなく、シリア政府と武装反体制派の双方に向けられたコフィ・アナン氏の調停案だ」 =AP撮影

「パートナー国への信頼なくしてシリア問題は解決できない」

米国は、シリア政権への支持をやめるよう、ロシアを説得する姿勢を強めている。ロシアはそれに屈服しておらず、中国はロシアに連帯している。「我々が擁護しているのはアサド大統領ではなく、コフィ・アナン国連特使の平和的調停案だ」と、月曜日にロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は述べた。米国公式筋の話として伝えた『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道によると、バラク・オバマ米国大統領は、政治会談のなかでウラジーミル・プーチン大統領に対し、シリアのバッシャール・アサド大統領の権力引き渡しを受け入れるよう、強く主張する意向とのことだ。

国連安全保障理事会で、リビア的なシナリオでの、外部による政権交代を許すいかなる決議も拒否しているロシアは、この情報に直接反応していないが、すでに月曜日に、クレムリンはこれまでの対シリア路線を変えるつもりはないことが明らかになった。それに先立つ日曜日には、国連安保理事会がシリア問題に関する緊急会合を行っている。

3時間にわたる安保理事会では、シリアのホウラ村での一般住民数十人の殺害情報に関して協議された。「国連安全保障理事会は、国連監視団によって確認された数十人の男女、子どもの殺害と、数百人の傷害を最も強い言葉で非難する」という、強制義務をともなわない報道機関向け声明の採択で、協議は終った。主たる責任はシリア政府にあるとしたが、声明は、殺害の責任は政府勢力だけでないことを認めている。

ノルウェーのロベルト・ムード将軍は、安保理事会への最終ブリーフィングで、悲劇に関与した者全員が処罰の報いを受けるだろう、と述べた。ムード将軍によれば、誰が最初に流血を挑発し、誰が報復したかに関わりなく、関与者すべてが責任をまぬがれないという。

ロシア外交団は、悲劇地域の状況が明白でない点に注目した。「シリアのホウラ村の悲劇の全責任をシリア政権に負わすことはできない。なぜなら、政府軍はその村に入っていないからだ」とロシア連邦のアレクサンドル・パンキン国連代表は述べている。

「ムード将軍によれば、エル・ホウラ村の一般住民数百人の死因は、重砲や戦車が使用されたことによるという。だが、その一方で、多くの遺体に至近距離から頭を銃撃された傷痕も見つかり、死に至らせた明白な物理的暴力の痕が残る遺体もあったという」とパンキン国連代表は、記者団との会見で述べた。

同国連代表は、エル・ホウラ村に生じたことが「挑発の結果だったかもしれない」という可能性を否定しなかった。

同時に、ホウラでの悲劇は、英国のウィリアム・ヘイグ外相がモスクワ緊急訪問する理由にもなった。総括会見で明らかになったところによると、同外相はこの状況でロシアを説得することには成功しなかったという。

「我々が支持しているのはシリア政府ではなく、シリア政府と武装反体制派の双方に向けられたコフィ・アナン氏の調停案だ」とラブロフ・ロシア外相は強調した。さらにラブロフ外相は、ホウラでの事件の再発を避けるためには、外部者が政権交代ではなく、平和プラン実現という一つのゲームのプレーをすることが必要だ、と述べた。

ラブロフ外相は記者会見で、13年前に旧ユーゴスラビアのラチャク居住区で起きた事件を例に挙げ、「OSCE(欧州安保協力機構)の使節団長が現地を訪問し、何の権限もなく、ラチャクで大量虐殺が起きたと発表した。事実上この発表が後に、OSCEの文書や国連憲章に違反して、いかなる決議もなくセルビア空爆が開始される主たる要因になった」と述べた。

同外相は、この事件の後、真実究明のため、EUがフィンランドの病理解剖学者グループを招き、彼らが公式見解を覆す報告を準備した、と指摘した。

ロシアは、ホウラでの悲劇の詳細な調査を要求している。だが、さらに重要なのは、ロシアが西側パートナー諸国に対し、明らかに不信感を抱き始めているという点であろう。

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