ロシアと日本、月への競走

© NASA

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ロシア連邦宇宙庁は、月面に研究基地を創設するために、月への有人飛行を予定している。ワシントンで22日から24日にかけて行われた国際宇宙研究会議で、ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)のウラジーミル・ポポフキン長官は、月面飛行を担う宇宙飛行士の選考が始まっているとして、次のように語った。

「宇宙飛行士の選考はオープンなもので、健康状態がよく、技術教育、医療教育をうけたロシア市民なら誰でも参加することができます。今日、学術は月を利用できるほどにまで発達しています。ですから、月や火星への有人ならびに無人プログラムを検討しているのです。月の力を借りて出来ることに関しては、非常に興味深いものがあります。太陽の観測もそのひとつです。私は2020年までに月に人間が滞在するようになると考えています。しかし、これはかつて宇宙が政治に利用された時代とは違って、国家の威信とは関係なく行われるのです」。 

   ポポフキン長官によれば、ロシアは米連邦航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙庁との間で、月面に基地を建設するか、月を周回する衛星を打ち上げるかという2つの計画について、議論を進めているという。ポポフキン長官は、「戦略課題となるのは、月を地球文明に取り入れるという長期計画です。このためには有人、無人に関わらず、宇宙学のすべてが動員されなくてはなりません。それは他の技術分野にとっても興味深く、必要なものとなるでしょう」と話している。

   一方、この会議で日本のJAXAは、月への有人飛行を計画していることを表明した。JAXAの山浦雄一氏は、人類の宇宙開発にとっての次の課題は月である、との考えを示している。日本とロシアは月への飛行において競争することになるのか、それとも協力することになるのだろうか。

   現在、ロスコスモスとJAXAはISS(国際宇宙ステーション)プロジェクトで協力しており、日本の研究モジュール「キボウ」も存在する。これは宇宙、物理、生物、医療などの研究を目的とした最大のモジュールだ。モスクワ郊外の宇宙飛行士養成センターでは、野口飛行士と若田飛行士が訓練を行っている。二人ともすでに宇宙滞在の経験があり、若田飛行士は2013年末に打上げが予定されている第39滞在チームの団長を務めることになっている。また、2013年には水星調査の合同プロジェクトも始まる。

   一方、米国は興味深い文書を発表した。これは月に到着したほかの国の宇宙飛行士が、アポロ11号の着陸地点から75メートル以内には近づいてはいけないというものだ。それは今のところ拘束力のない、提言としての文書だが、人類初の月面着陸という歴史遺産を守るためだとされている。

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