露、資源で影響力拡大

=AFP/East News撮影

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東南アジア地域へのロシアの影響力が近年強まっている。同地域は、経済成長期を迎えているが、さらなる成長の鍵を握るのは、インフラ整備とエネルギー資源確保。そこにエネルギー大国ロシアの強みがある。

東南アジア諸国連合(ASEAN)は、2010年に、域内エネルギー協力計画を打ち出した。2015年までに、ASEAN諸国共通の、電力を地域にくまなく分配する高圧ケーブル系統やASEAN横断ガスパイプラインの建設、クリーン・コール・テクノロジー(石炭を高効率に、かつ環境負荷を最小に利用することを目的として開発が進められている石炭利用技術)の開発、原子力分野における協力などが主な課題だ。

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モスクワの世界経済・国際関係研究所(IMEMO)アジア太平洋地域研究センターのエフゲニー・カナエフ教授は、「東シベリアから太平洋に至るパイプラインが稼働し始める2012年から、ロシアは、アジア太平洋地域のエネルギー供給でより重要な役割を担うことになるだろう」と予測する。

既に稼働しているロシア・アムール州のスコボロジノと中国・黒龍江省大慶を結ぶパイプラインは、2030年まで東南アジアへ年間約1500万トンの石油を輸送する予定だ。

2010年 10 月の第2回ロシア・ASEAN首脳会議(ハノイ)で、石油、ガス、原子力、再生可能資源開発での協力を強化する協定が結ばれた。ロシアの国営天然ガス企業体「ガスプロム」、国営原子力企業「ロスアトム」、電力輸出入部門を管轄する「インター統一電力」(インテルRAOEES)は、地域でのさらなるビジネスチャンスをうかがう。

ロシアの東南アジア地域との貿易は150億ドル(約1兆2300億円)。ASEANと中国との1800億ドル(約 14 兆8000億円)や米国との1500億ドル(約 12兆3000億円)にはほど遠いが、ロシアとASEANはこれからだ。ちなみに、同地域を訪れたロシア人観光客は、2005年から2009年までの間に3倍増となっている。

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