コレクションにはジーンズ、トップス、ニット製品といったGJO.Eブランドの基本形が組み込まれ、カーキにマーシュ・グリーンの色味、ネイビーとベージュなど、GJO.Eらしい落ち着いた色調が中心となった。コンテンポラリー・スタイルを専門とする人々の間で最高級と考えられている、日本製の旧式織機で織られた高品質の綿生地のみが使用されているのがポイントだ。概して、このコレクションのデザイナーたちは、日本人はみな完璧主義者で、手がけるものは何でも素晴らしい仕上がりになる、とみなしている。様々な生産国の生地を15年にわたって扱ってきた経験から、デザイナーたちは日本製生地が最も、質と「誠実な」値段との組み合わせにおいて優れているという結論に達し、もっぱらそれを用いることにしているのだ。その上、生産における伝統への敬意は、日本の現代技術とオールド・スクールとを結びつけることを妨げない。その点に関して、日本人が世界のトップを行っていることは、周知の通りである。
かくして、日本のハイテクはロシアの気候に適応したストリート・ファッションをつくり上げる。着心地の良さやくつろぎ感、機能的要素のある複雑なカット、体型への理想的なフィット感、アイテムの高い耐久性には、誰もがとりこになってしまうだろう。「What’s going on?(何が起きているのか)」コレクションは、比較的新しいGJO.Eがロシアのファッション市場を代表するブランドであるだけでなく、ヨーロッパ市場でも独特で競争力があるということを証明する形となった。
GJO.Eブランド創設者の一人であるイーゴリ・イサーエフ氏が、ショーの後で「ロシアNOW」のインタビューに答えた。
- モデルの一部がアーミー・スタイルを披露していましたが、表現したかったものは何でしょうか。観客に何を訴えたかったのですか。
私のコレクションの主要なテーマは反戦です。ショーの最後で袖章、アーミーブーツ、ベルト、フラッグを投げ捨てたのは、世界中で行われている軍事行動に対する拒絶を意味しています。さらに追加的なテーマとして、環境問題があります。ショーの冒頭で、油田作業員の制服を来たモデルが、切り取られたつぼみの花束を手に持ってキャットウォークに登場したことに、お気づきになられたでしょうか。「これを着るべき」、「この組み合わせはいけない」、「このような服を着るのは危ない」といった、マスコミが植え付けようとするさまざまな印象を、私たちのファッションで打ち消そうとしています。国民の意識の奥深くまでこの固定観念が根付いてしまっていて、皆が似たり寄ったりになっています。自分らしくあり続け、自然を愛し、流行に流されないようにすることが大切です。残念ながら、多くの人がこれを忘れています。
- ショーのプレビューには、「世界で何が起きているのか(What’s going on?)」という疑問に答えると書いてありましたが。
世界は個性喪失に向っています。インターネット、世論、大衆市場は、人々を物に変えてしまっています。こういったことから離れ、自分らしくいられるようにする必要があります。他人を気にせず、ユニークであるべきなのです。