ロシアで地方自治体首長の公選制が復活

=ロシア通信撮影

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ドミートリ・メドベージェフ大統領は、ロシアの地方政府知事の公選制を復活させ、政党の登録を容易にする法律に署名した。これらの法律の制定は、2011年12月の下院選挙後に始まった抗議運動の要求を満たすものと考えられている。しかし、この政治改革に対しての専門家の評価はまちまちだ。

この地方自治体知事選挙の新制度は、ウラジーミル・プーチン氏の主導で2004年に廃止された当時の制度に比べ、より複雑なものとなる。この制度下で知事選に立候補するには、地方議会議員の5〜10%の票を集めるか、少なくとも該当する地方の自治体首長のうち75%からの支持を得る必要がある。さらに、それぞれの議員と首長は、候補者1人にしか票を投じることはできない。候補者は、政党の指名を受けることができる。地方によっては、その地方条例に反さない限り、無所属で立候補することも可能だ。

この改革では、無能な地方首長をリコールする体制も新たに布かれた。知事が汚職、職権濫用やその他の違法行為に関与し、法廷でそれが立証された場合、大統領には知事を罷免する権限が与えられる。また、知事の罷免に住民の25%が賛成票を投じた場合、知事は辞職しなければならない。知事は5年の任期で選出され、連続で2期以上職に就くことはできない。

同時に、メドベージェフ大統領は政党登録簡易化に関する法律にも署名した。これにより、政党は連邦および地方議会選挙に参加するに当たって、署名を集める必要がなくなる。しかし、議員をもたない政党は、登録に際して有権者10万人の署名を集めなければならない(以前はロシア大統領選の候補者を指名するのに、200万人の署名が必要だった)。

メドベージェフ大統領は4月初め、ロシアの政治制度を改革する別の法律にも署名した。この法律により、政党の登録条件が緩和され、登録に500人の党員しか要しなくなった。

ロシアの政治制度を自由化するメドベージェフ大統領の試みは、前向きな動きであるかのように見受けられるが、一方で、この政治改革に対して懐疑的な専門家もいる。

「すべては、どのように選挙が実施されるかにかかっている」と、国際政治研究所のエフゲニー・ミンチェンコ所長は指摘した。「名目上は、この法律の制定により、野党の候補者たちは、選挙に参加するための署名を集める機会を得た。しかし、モスクワやサンクトペテルブルクの選挙は、極めて操作されたものになるだろう。地方権力は連邦政府の管理下にあるからだ。そのため、野党が候補者を指名する際に、そのしきいが高くなる可能性がある。この法律が将来、再度改正される可能性は否定できない」。          

ガイダール経済政策研究所のイリーナ・スタロドゥブロフスカヤ氏は、この法律は見せかけに過ぎないと説明する。「これは煮え切らない対策です。しかし、正しい方向には向かっています」と、彼女はコメルサントFMに対しコメントした。これは地方自治体に再び独自の首長を選出する機会を与えるものだが、その一方で、この法律はきわめて複雑で、首長選出の精巧なメカニズムを要するものである、と彼女は述べた。

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