中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカの新興5カ国(BRICS)は、3月 29日にニューデリーで4回目の首脳会議を開いた。BRICSは、国際問題に対する自らの影響力を自覚し始めており、ドル国際基軸通貨体制および国際的コンセンサスなき武力行使への異議を表明している。
今回ニューデリーでは、BRICS諸国の主要銀行が、自国通貨で相互に、または共同プロジェクトに資金供与する協定に調印した。これは世界のGDP(国内総生産)の約20%を占めるBRICS経済圏におけるドルの役割縮小を図る試みであることは明らかだ。
国際政治の分野では、対シリア内政干渉への抜け道を含む国連安保理決議に対し、ロシアと中国は、拒否権を行使し、インドは賛成したが、ニューデリーでは、BRICSとして、話し合い解決を主張した。
イラン核問題に関しても、話し合い解決を主張する「デリー宣言」を発表。石油禁輸など国連決議によらない対イラン制裁には、BRICS諸国は関与しない姿勢で一致している。
BRICSの連帯的姿勢は、何よりもまず、西側と歩調を合わせない国家に対する武力行使に反応したものだ。BRICSは目下、政治的な集団的防衛のルールを定めつつある。
BRICSはただ寄り集まっているだけで組織として脆いとの批判があるが、その点では、非公式なクラブであるG8と大して変わらない。いずれも共通の立場を形成する場だ。
BRICS内の対立として、しばしば執拗に取り上げられるのは、中国とインドのかねてからの国境をめぐる争いだ。だが、BRICSが挑む課題のスケールは国境紛争などの比ではない。
BRICSを一つにしているのは、独立と主権を強化し新興国の利益を代表するという理念であり、メドベージェフ大統領の言葉を借りれば、「世界の政治経済の最重要問題に関する、十全な協力機構へ徐々に変容していくことも、BRICSの目的となりうる」。
アンドレイ・イリヤシェンコ: ロシア国営ラジオ局「ロシアの声」解説員
ロシア・ビヨンドのニュースレター
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