ロシア極東地域への中国人観光客誘致計画

アムール川     =アルチョム・ザゴロドノフ撮影

アムール川 =アルチョム・ザゴロドノフ撮影

ロシアの中国に対する懐疑心が、長年極東地方における経済的統合を妨げてきたが、近年、人的、物的交流共に進歩の兆しをみせてきている。

プーチンが次期ロシア大統領に選出された3月の夜、ロシア極東にあるブラゴヴェシェンスク市の夜空に花火があがった。しかし、花火はロシアで打ち上げられたものではなく、アムール川の対岸にある黒河市側から打ち上げられたものだった。プーチンが権力の座についてから、二国間貿易はこの10年で5倍の700億ドルまで跳ね上がった(2020年までには2兆ドルになると予想されている)。中国側がプーチンの再選をうけ、祝福モードになったのである。

地元のツアー客はヴィザなしで国境を越えることが出来るため、ロシア人と中国人の接触はより頻繁なものになっている。

=アルチョム・ザゴロドノフ撮影

黒河市にはショッピングモールやサウナ、レストラン、歯科医院、カフェなど、収入の増えているロシア人観光客をターゲットにした店舗が軒を連ねている。

誰もが中国側のブームに満足している訳ではない。 「昔はあそこには舗装されていない道路やあばら屋の小さな村があった」と証言するのは、ブラゴヴェシェンスクで生来暮らす、地元の孔子協会(世界中で中国の言語と文化を広める北京のNGO)会長のニコライ・クハレンコ氏だ。「今となれば、向こう側の方がこちらよりも超高層ビルが多い。多くの人が、我々の金で向こうが潤っていると考えている」。

中国の成功に対する警戒心から、地元の人々は、多くの若者が中国や他の近隣諸国に将来への希望を見いだしていることを嘆いている。「これは我々ロシア人によくある被害妄想だと思う」とクハレンコ氏は語る。

「確かに、中国語も含め、外国語の習得に興味をもつ人々が増えているが、それはどこの国でも同じ事だ。地元の学生は留学して異国の文化に接する事により、視野を広めたいと思っているが、それはどこでも同じだ」と彼は説明する。 

だが、こうした警戒心は、ロシア側に永住している数千人の中国人にとって、多くの経済的そして政治的障害に繋がる。ジーマ(ロシア語名)はブラゴヴェシェンスクで 中華料理店を数店経営する20代後半の男性だ。「ロシア人でないから私は物件の所有者にはなれない」と彼は説明する。「所有者と当局はそれを承知しており、私は言いなりになっている。一方的に賃貸料を引き上げ、同意しなかったら追い出される」。

中国人に身近な「ヨーロッパ」と「恐竜」をアピール

 

ロシアの役人は、どのようにしてこの経済的に不利な状況から抜け出せるか、案を練っている。アムール地方経済大臣のイーゴリ・ゴレヴォイ氏は、中国製の安い製品だけではなく、中国人の購買力も引きつけたいと考えている。

ゴレヴォイの計画は、1億人の、収入増加の見込みのある中国人 観光客を誘致する事だ。

ゴレヴォイの考えの根底には、中国人はロシア人をヨーロッパ人とみなし、身近な「ヨーロッパ」を訪れてみたいと思うだろう,という目論みがある。「いくつか偽エッフェル塔でも作って、ビッグベンを建てて、家族旅行用の施設を作れば、観光客は集まるだろう」と彼は言う。

進歩の兆しはすでに現れ始めている。クレーンやトラックは今、アムール川のロシア側の岸に並び、ゴレヴォイの「ゴールデン・マイル」にはホテルや観覧車が出来始めている。

また、ブラゴヴェシェンスクは世界でも有数の恐竜化石の宝庫として知られる。さらに2015年には、新たな宇宙基地がオープンする予定だ。