建築で市民にファンタジーを: モスクワの公園建設構想で設計コンクール開催

アレクシス・ガーデン(25歳)さん

アレクシス・ガーデン(25歳)さん

クレムリン近くの公園建設構想で、設計コンクールが行われた。設計は匿名式だが、コンクールに先立ち、「モスコフスキエ・ノーヴォスチ」紙が、コンクール参加者の一人と話をする機会を得た。

4月6日、モスクワ市建築・都市計画委員会のサイトで、クレムリン近くのホテル「ロシア」跡地に建設予定の公園設計案の投票が行われた。118案のうちの1案を作成したリヨン出身のフランス人建築家、アレクシス・ガーデン(25歳)さんが、ロシアでの仕事を希望する理由と、モスクワでなにを変えたいのかについて語ってくれた。

 

「正しい公園は街を変える」

ガーデンさんは、第一専攻として都市建設技術を学び、7月にリヨン建築学校で修士号を取得する予定だ。普段からロシアのニュースに目を通していて、コンクールについてもネットで知った。「コンクールについて知った時、迷いはありませんでした。自然発生的に行動を起しました」とガーデンさんは語る。コンクールが国家的プロジェクトであることは特に気にせず、楽観的な姿勢で参加した。「誰もが夢を持つ権利があります。世界の建築課題は、市民に夢とファンタジーを与えることです。コンクールの投票の公開性が気に入っています。批判をするのは簡単ですが、この企画には一定の価値があります」と語る。

自身の設計はより生真面目であると考え、他の参加者の大胆なコンセプトに驚いている。「今ロシアで生まれているような市民レベルのプロジェクトが発展する場として、街や市民が必要とする空間を作ろうと考えました。旧市街を散歩する市民活動は、いかにもロシアらしい現状です。正しい公園は街を自動的に変えます。例えば、私の出身地リヨンでも、中心地にあった河川敷駐車場跡地に数年前に大きな公園が建設され、街の外観は大きく変わりました」と説明する。

コンクールに応募した自身の設計については、あまり話そうとしなかったが、冬でも営業する屋外プール、温室、またガラス製の建物の屋上に、モスクワ中心部を一望できるような散歩用デッキがあることを明かしてくれた。

 

「モスクワは建築家の夢」

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ガーデンさんは8年前にサマーラ市を訪れて以来、ロシアの研究を続けている。ニジニ・ノヴゴロド市、アナーパ市、コストロマ州ネレフタ市の建築物に興味を抱く。

「モスクワは独特な街です。現実的な問題を抱えつつ、急速に発展しています。成功を夢見る建築家にとって、まさに夢の街です」という。また、メドベージェフ大統領が掲げている首都拡大構想「大モスクワ」については、次のように述べた。

「潜在性を秘めていて、経験を互いに交換する場となるでしょう。多くのフランス人専門家も参加しています。フランスでは「大パリ」構想が実現されました。パリはモスクワのように無秩序に発展し、多くの問題を抱え込み、独自性を失いました。人々が、自分が生活する土地との関係を感じ取り、理解するように努力しなければならないと思います」。

汚さ、交通機関の問題、統一性のない発展がモスクワの問題としながらも、一番の問題は、生活の場に対する市民の揺るぎない愛情が欠落していることだと指摘する。「ロシア人はモスクワについて文句ばかり言っています。なんで『いかれた』モスクワなんかに来たがるのかと、よく聞かれます」。自分の街を愛し、自分たちで変えて行く必要性を市民に教えなければならないと考えている。「小さなことでも、生活の質を大きく変えることができます。モスクワには、文化遺産を知るための散歩といった、おもしろい活動が多く生まれています。このような動きはヨーロッパにはありません。建築家と政治家が参加するような都市開発に市民を呼び込むことができれば、大きな原動力になるでしょう」。