総称から同盟へ

具体化されたBRICS同盟には、共通した強い気持ちがある。それは、世界の経済や政治の場におけるBRICSの役割を、根本的に高めたい。=AFP / East News撮影

具体化されたBRICS同盟には、共通した強い気持ちがある。それは、世界の経済や政治の場におけるBRICSの役割を、根本的に高めたい。=AFP / East News撮影

「アーンスト・アンド・ヤング」社のオレグ・ダニリン氏が、インドの首都ニューデリーで開催されたBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会議を総括した。

-この会議では、BRICS独自の開発銀行を創設することが決定されました。この決定は、BRICSを価値の高い経済圏に変えるということでしょうか。

確かにBRICS諸国はその方向に進んでいます。おもしろいのは、欧州共同体がたどった順序と同じ順序を踏んでいるということです。欧州共同体は、はじめに経済的な仕組みを定め、その後すぐに政治的な問題を提起していました。

-専門家は幾度となく、BRICS諸国の間には一致点が少ないと指摘してきました。同じようにお考えですか。

それは必ずしも正しくありません。具体化されたBRICS同盟には、共通した強い気持ちがあります。それは、世界の経済や政治の場におけるBRICSの役割を、根本的に高めたいという願いです。一国の政治的意思に他の国が従わなければならないという状態を、独自の外交政策を行うことができる新興国が受け入れられなくなっているということです。そのため、メキシコやトルコはこの同盟に含まれていません。この二国はBRICSの一部の国よりも経済成長率が高いにもかかわらずです。

-独自の開発銀行を創設し、それぞれの国の通貨での決済に移行することは、政治的および経済的な観点から、BRICS諸国にどのような恩恵を与えますか。

超国家の開発銀行ならびに相互融資の仕組みの創設は、世界の金融システムに大きな影響を与えます。世界市場の投資を集中させ、BRICS諸国の発展プロジェクトに移転させることができるような、巨大でほぼ独立した機構ができあがることになります。

 

-それは、新興国がIMFで自国の立場を強化できなかったことに対する、「小さな報復」にはなりませんか。

「小さな報復」であるとは思いません。この計画には信念があります。「一国一投票権」の原則が採用されれば、新たな「ブレトン・ウッズ」となり、経済的および政治的な決定の原則に関する、アメリカへの最後の要求となることを意味します。例えば、世界銀行でのブラジルの投票権は、資金に対する比率から2%強しかありませんが、BRICS開発銀行が創設されると、「一国一投票権」の原則に従い、ブラジルの比率は20%になります。

-BRICS内の貿易経済関係の力学は、相互融資やそれぞれの国の通貨による決済への移行に適したものでしょうか。新しい経済圏が、どこよりも中国に有利になりませんか。

この場合の貿易関係の力学は、原則的な意味合いを持ちません。BRICS各国の直接投資への意欲が重要です。中国は圧倒的な経済成長率を誇っていますから、当然優勢を占めるでしょう。だからといって、中国がこの経済圏で利益を受ける唯一の国になるとは思っていません。BRICSの目的は、相互投資とドルとユーロへの依存からの少なからぬ脱却です。

-国の通貨の使用拡大は、モスクワの国際金融センター創設プログラムに適したものとお考えですか。

BRICS同盟の創設は、ロシアの国際金融センター創設構想にかなっています。それは、ロシアが国際的な投資の場所と基盤を提供するだけではなく、BRICSの直接個人資本投資を可能とする、大きな投資の潜在性を秘める国となるからです。

-中国の強い経済力を考えると、中国の影響下に置かれることにはなりませんか。世界に新たな準備通貨(人民元)が生まれたり、世界経済におけるルーブルの役割が変わったりすることはありますか。

長期的に見れば、人民元はある程度、交換可能な通貨になる可能性はあります。しかしながら、為替リスクに対する分散投資の世界的な需要の可能性を考えれば、極めて慎重な対応となるでしょう。人民元高になれば、中国経済に悪影響を及ぼし、経済成長率を低下させますから。事はゆっくりと進んで行くでしょう。ただし、BRICSの相互融資の仕組みは、それぞれの国の通貨をBRICS内準交換可能通貨に変える可能性があるので、ルーブルも含めた各通貨が、ドルに対して強くなるでしょう。