絡み合うシリアとアサド大統領の運命

=AP撮影

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コフィー・アナン国連・アラブ連盟特使(前国連事務総長)の任務は、「シリアにとって、長期的な流血の内戦を回避するための最後のチャンス」となる可能性がある。ロシアのメドベージェフ大統領は、先週日曜日にモスクワで行われたアナン特使との会談に際してこのように述べた。この言葉の裏には、西側諸国がシリアに対する姿勢を軟化させる一方で、シリア国内の暴力激化に対するロシアの懸念がうかがえる。

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米ロ首脳会談

3月26日に韓国で行われたオバマ大統領との会談の席でも、ロシアは内戦を食い止めようと呼びかけた。

オバマ大統領によれば、アナン特使はその任務の中で、シリア国民が「合法的な代表と政府」のもとで生活できるようなメカニズムの構築を目指すという。これは、バッシャール・アサド現大統領が、シリアの指導者にふさわしくないということを暗に示している。アメリカのビクトリア・ヌーランド報道官は3月22日、「シリアが政治的な移行を終える時に、アサド大統領が指揮をとり続けているという状況を、我々は希望していない」との声明を発表した。

メドベージェフ大統領との会談に先がけ、オバマ大統領はトルコのエルドアン首相と会談し、シリアの反体制派に対する「非軍事的」支援の可能性を探った。ここで重要なのはその支援の中身ではなく、トルコがシリア問題に関わるという点だ。

ロシアは、シリアの反体制派に対する「外部からの後押し」や、一方の当事者に偏った「国際社会の支援」は好ましくないと、アナン特使にアピールしていく意向だ。

アサド大統領を支持するか否かについて、ロシアは立場を明確にしていない。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、シリアの現政権の擁護派ではないということをくり返し述べている。メドベージェフ大統領による「シリアの最後のチャンス」とは、どちらの側にも向けられた言葉だ。ロシアはこれまでと変わらず、シリアの政治過程に外部的な影響が及ばないよう、またシリア国民が指導部を選べるような条件を整備していくよう努めている。

アメリカは、あくまでもアサド大統領の辞任を求めて行く姿勢で、こうした姿勢がロシア、アラブ連盟、国連による仲介を失敗に導いている。

ロシア外交官協会会長を務めるポゴス・アコポフ大使によれば、ロシアはアナン特使の訪露の際、同氏の計画を全面的に支持することを表明した。アコポフ大使はこれまでに、中東地域のロシア大使館で特命全権大使を二度務めた中東専門家である。同大使によれば、シリア情勢の成り行きは、反体制派勢力が対話の席につくかによって変わってくる。「反体制派は対話を望んでおらず、これが情勢悪化の内部要因となっている。外部要因は、アメリカがアサド大統領の退陣を目標とし続けていることだ。アメリカがその立場を変えない限り、前には進まないだろう」と大使は述べた。

アサド大統領の政治的運命がシリア問題解決の障害の一因となっており、アラブ連盟もそれを理解しているようだ。日曜日、アラブ連盟のアラビー事務局長は中東メディアのインタビューに答え、イラクの首都バグダッドで今週開催されるアラブ連盟首脳会議で、アサド大統領の退陣を要求しないことを明らかにした。アラブ連盟が今後要求していく可能性は低いのかとの質問に対し、「その通りだ」と答えた。

3月28日から29日にかけ、インドの首都ニューデリーで新興5カ国(BRICS)首脳会議が開催されるが、その場でもシリア問題への内政不干渉や対話プロセス開始についての方針が明確にされる。一方、来週の日曜日には「シリアの友人」会合が開催される予定で、異なる取り組みが示される可能性もある。アラブ連盟、BRICS、「シリアの友人」会合は、シリア問題の解決とアサド大統領の運命について、共通のベクトルを決定することになろう。