プーチン、外交方針論文を発表

=AP撮影

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2月27日、『モスコフスキエ・ノーボスチ』紙にプーチン首相の新たな論文が掲載された。『ロシアと変わりゆく世界』と題されたこの論文では、国際情勢、現代世界におけるロシアの役割および外交政策などについて述べられている。 『ロシアと変わりゆく世界』は、大統領の座を目指す同首相の選挙綱領シリーズの第7弾となった。

信頼を損ねる者 

首相の言葉によると、「極めて重要な命題に含まれるのは、あらゆる国家から切り離せない安全保障の問題、許しがたい過度の武力行使、国際法の基本原則の無条件遵守である」。まさにそれゆえ、国連および国連安全保障理事会が、国際舞台における一連の国々からの圧力や専横に対し、有効な歯止めをかけうるようにすることが重要なのだ。「国連の大権および全権を我が物とする権利を有する者はいない。とりわけ主権国家に対する武力行使という面において。第一にそれは『防衛的連合』に似つかわしくない機能を担おうとするNATO(北大西洋条約機構)について言える」。

「アラブの春」:教訓と結論

「アラブの春」は、当初は前向きの変化に対する期待とともに受け入れられた。しかし、まもなく多くの国では事態が文化的なシナリオに沿って進展してはいないことが明らかとなった、とプーチン氏は述べている。「『リビアのシナリオ』を何者かがシリアで実現しようとすることを許してはならない。国際社会の努力は先ず、シリアの当事者間の和解の達成に向けられるべきだ。大事なのは全面的内戦の勃発を許さないことだ」と同氏は結論づけている。

新たな挑戦と脅威

「紛れもなくロシアは、イランに対する軍事攻撃の脅威が高まりつつあることに懸念を抱いている」と首相は記している。同氏の言葉によれば、ロシアはウラン濃縮の権利を含む平和的核プログラムの推進に対するイランの権利を認めるよう提案しているが、これはもっぱらイランの核開発全体をIAEA(国際原子力機関)の監理下に置くことと引き換えに行われなくてはならない。

北朝鮮の核問題も、イランに劣らず深刻な状況であるとプーチン氏は考えている。「北朝鮮の核ステータスは、ロシアにとって受け入れられるものではない。ロシアは朝鮮半島の非核化を一貫して求めている。それももっぱら政治的外交的手段による非核化を、だ」。

「アフガニスタンでは、NATO主導の国際治安支援部隊は課題を解決できなかった」と首相は確信している。同氏は、アメリカが2014年のアフガニスタンからの撤退を表明しながら、明確な委任状もなく、目的も期間も曖昧なまま、同国および近隣諸国に軍事基地を創設しつつある点を、その原因として挙げている。「アフガニスタンはロシアの近しい隣国であり、ロシアはこの国が安定的かつ平和的に発展することを望んでいる」とプーチン氏は記している。同氏は、同地域から波及する麻薬の脅威を抑える必要性に、特別の注意を払っている。

アジア太平洋地域の役割の向上

「中国経済の成長は脅威ではなく、実務協力の巨大なポテンシャルを包含する呼び水であり、『中華の風』を追い風としてロシア経済の『帆』で受けるチャンスだ」とプーチン氏はみなしている。同氏の考えでは、国際舞台におけるその行動からして、中国は覇権を目指しているとは言えず、ロシアは中国の声がますます自信に満ちて世界に響いていることを歓迎している。中国は形成されつつある平等な世界秩序のヴィジョンをロシアと共有しているのだ。

プーチン氏は、BRICSを高く評価し、こう述べている。「ロシアはBRICSのパートナー国との協力に優先的意義を付与しており、これからも付与していく。このユニークな機構は、一極支配から、より公正な世界秩序への移行をきわめて明瞭に象徴している」。

さらに同氏はこう述べる。「『G20』はまもなく、危機への対応だけでなく、世界の金融経済構造の長期的再編にとって、戦略的に重要なツールになるだろう」。

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欧州のファクター

ヨーロッパについて首相はこう指摘する。「ロシアは大欧州の不可分かつ本質的な一部である。ロシアが、大西洋から太平洋に至る、単一の経済的人的空間の創出を提唱しているのもそのためだ」。

同氏は「リスボンからウラジオストクへ至る、調和のとれた経済共同体の創出を目指し、将来は自由貿易ゾーン、さらにはもっと進んだ経済統合メカニズムの形成を図る」よう再三提案している。

また、単一の欧州エネルギー複合体の創出に至るまでの、エネルギー分野におけるより踏み込んだ協力関係を模索する必要性を指摘している。

露米関係

首相の考えでは、近年露米関係発展の面では多くのことが為されたものの、両国関係の根本的改造に関する問題を解決することはできなかった。プーチン氏は、二国間の政治対話や協力が、確固たる経済的基盤に立脚していないことをその主な原因の一つとみなしている。「『政治的工学』に携わる米国の試みも、相互理解の確立を阻んでいる。ロシアにとって重要であり続けてきた地域におけるものや、ロシアの大統領選挙戦の過程におけるものを含めてだ」。とりわけ、欧州にMD(ミサイル防衛)システムを創出するアメリカの企てがロシアの懸念を呼び起こしている点を指摘し、「それは同地域でロシアのみが有する戦略核抑止力を刺激し、何十年にもわたって築かれてきた軍事的政治的均衡を崩すものだ」と述べている。

首相は、MDと戦略攻撃兵器の断ちがたい相互関係が2010年に調印された新戦略兵器削減条約(START)に反映された点を指摘し、「利害関係のバランスを揺るがしえない規定となるべきだ」と述べている。

経済外交

首相は、ロシアには外国市場へのより幅広い非差別的な進出が必要であるため、WTO(世界貿易機関)への加盟によって、ロシアは予想される外国との競争の激化を考慮しながら、自国の生産者の利益を確保することができたとみなしている。

同胞の支援とヒューマン・ディメンション

 「ロシアは、権威ある国際機関による多数の勧告に従い、少数派民族の一般的権利を遵守するよう、ラトビアおよびエストニアに断固として働きかける」。

 V.プーチン氏は次のように結んでいる。

「ロシアは事実上、常に独立した外交政策を実施する特権を有してきた。今後もそうあり続ける。私は、世界の安全保障は、もっぱらロシアとともに保障されるものと確信している。ロシアの地政学的立場を弱めたり、国防力を損ねたりすることなしに、だ」。

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