激動のロシアに体当たりした文学者 『昇曙夢翻訳・著作選集』全7巻

『昇曙夢翻訳・著作選集』全7巻

『昇曙夢翻訳・著作選集』全7巻

明治・大正の翻訳文学が持つ意味は、外国語の作品を日本語に移すというだけのものではなかった。単語を一つ一つ選択し、適切な文体で紡いでいくことそれは、作品の創造そのものであり、日本語を新しく作りなおしていくことでもあった。なかでも、南の島(奄美)出身のロシア文学者・昇曙夢(のぼり・しょむ)は、最大の功労者の一人である。その仕事は、『六人集』『毒の園』(世紀末ロシア文学翻訳集)によって二葉亭や漱石、鷗外の仕事と響き合っているばかりではなく、芥川龍之介、谷崎潤一郎、志賀直哉といった世代の作家たちに重大な影響を与えている。昨年、その多彩な仕事の精髄が『昇曙夢翻訳・著作選集』全7巻 (クレス出版)に集められ、再評価の機運が高まっている。