モスクワ新ドラマ劇場が三島由紀夫の『道成寺』と『卒塔婆小町』にもとづき、芝居『道成寺』を上演した。
モスクワ新ドラマ劇場を率いる演出家、ビャチェスラフ・ドルガチョフ氏が、三島由紀夫の『道成寺』と『卒塔婆小町』(いずれも『近代能楽集』所収)にもとづき、芝居『道成寺』を上演し、好評を博している。同劇場は、モスクワ芸術座付属スタジオ学校の出身者を中心に、1976年に創設。ロシアでまだあまり知られていない、古典と現代の戯曲を取り上げることで知られる。三島の『道成寺』のモスクワ上演は初めて。
三島文学はロシアにファンが多く、『仮面の告白』、『サド侯爵夫人』、『綾の鼓』などは既に上演されている。
『近代能楽集』を選んだ理由について、ドルガチョフ氏はこう言う。「面白いのは、昔の物語を今の都会風の環境に置き換えているところですね。今の人間は、愛や創造といった不朽の観念が分からなくなっています。ですから、それらを現代の状況で捉え直すことは、すごく切実でアクチュアルなのです」。
舞台装置や役者の衣装は限りなくシンプル。そこにはロシア人が考える「日本的なもの」は何もない。観客は余計な細部に囚われることなく物語に集中できる。演出家は、素朴さ、簡潔さ、古の余韻に現れる最も「日本的なもの」を正確に捉えたのである。
上演のビデオ
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