NGOの腐敗防止活動によく見受けられるネガティブで批判的なイメージが、目下の公的なビジネス界とNGOの協力関係を不可能にしている。民間の腐敗防止活動に対する国際的な規模での財政的支援は、罪悪感による寄付という程度のものにすぎなかった。民間企業からの財源は、不正な活動に対して処罰を受けた企業が、公の場で償いをしようとする結果である場合が最も一般的だ。しかし、腐敗に対して効果的に戦うには、各企業が自社の関心と経験に見合った特定の腐敗防止プロジェクトに資金を提供できるようにしなければならない。企業には、NGOによって提供されるサービスを自在に利用できるだけでなく、独自またはNGOと共同でプロジェクトに参加し、特定の段階的目標を実現できるような可能性が与えられなければならない。
我々の6年にわたる事業期間中の成功例の一つは、建設業界という特に腐敗が激しい部門から生まれた。ロシア北部の都市スィクティフカルで、各工期を専門家に監督させる事業を設立するため、ある建設会社と合意書に署名した。これにより、監督対象の建築物内の不動産物件の一平方メートルあたりの地価は、約2,500ドルから1,000ドルにまで下落した。
さらに我々は、「全ロシア・メディアによる腐敗暴露コンテスト」を開始した。全国各地から400人のレポーターがモスクワに集結し、腐敗問題を明らかにした調査報道に賞が与えられる。このコンテストは我々にとって極めて重要である。国家と一般市民の間をつなぐ主要な対話のプラットフォームとなるメディアが、腐敗との闘いにおいて最も重要な役割を担うからだ。
もう一つの問題は、コンプライアンス体制が大企業の指針において不可欠となっており、一見企業があたかも進歩を遂げているかのように見えるが、行動規範、内部統制や従業員の訓練といった事柄自体は、腐敗を低減させるわけではない、ということだ。通常、このようなシステムは、中級・下級管理職レベルの公正さを守ることを目的としているが、腐敗しきった市場においては、不正な活動に関与しているのはしばしばトップ管理職である。
腐敗防止のコンプライアンス体制を今以上に複雑化させなくとも、より単純で安い技術を利用して腐敗に対抗することは可能なはずだ。そのためには、腐敗防止NGOと共同で慎重な検討を重ね、相互に有益なシステムを構築することが必要となろう。「地域間NGO腐敗対策委員会」の実地経験から、どんな法人も単独で確実に腐敗の圧力に耐えることはできない、と私は断言できる。
NGOと市民社会の各団体間の協力体制の強化と調整によってのみ、必要とされるシナジー(相乗効果)は可能となる。少数の組織同士の結束は、多数の腐敗防止プロジェクトが別々に行動した場合の成果に勝るのだ。
アナトーリ・ゴルベフ氏は、NGO腐敗対策委員会の役員会委員長および、国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ロシアの役員会メンバーとして、その舵取り役を務めている。
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