ロシアこの1年

下稽古中=コメルサント紙撮影

下稽古中=コメルサント紙撮影

10+1大ニュースで振り返る

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ドモジェドボ空港爆破事件の現場で人々は悼む=AP Photo撮影

ドモジェドボ空港爆破事件の現場で人々は悼む=AP Photo撮影

ドモジェドボ空港爆破事件 

 モスクワのドモジェドボ空港の国際線ターミナルで、出迎えの群衆に紛れこんでいた自爆テロリストが、高性能爆薬TNT換算で7キログラム以下の爆破装置を作動させ、37人が死亡、200人以上が負傷した。2月に入ってから、チェチェン分離独立派武装勢力のドク・ウマロフが犯行声明を出した。

結果

 同空港の到着ロビーには、金属探知機を通過せずに出入りできるなどの欠陥があった。メドベージェフ大統領は、内務省で中央連邦管区の交通問題を担当する局長を解任した。ヌルガリエフ内相は、内務省の同空港担当局の局長と次長2人を解任。

 大統領は、交通輸送の安全確保のため、一連の措置を承認した。

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オートバイ警官=タス通信撮影

オートバイ警官=タス通信撮影

「警察に関する」法律の採択 

 内務省職員による一般市民に対する犯罪が相次いだ。最大の衝撃は、2009年4月モスクワで、デニス・エフシュコフ少佐がスーパーマーケットなどで、ピストルで9人を次々に殺傷した事件。内務省の威信は地に堕ち、同省改革法案が作成された。大統領の発意で、法案はネット上で一般国民の討議にふされることとなった。こうした試みは初めて。

結果 

 改革で、「民警」(ミリツィア)の名称は「警察」(ポリツィア)と変わり、制服もしゃれたものに一新。法律には、市民の拘束の手続きが詳述されている。今後、警察は、国家の「懲罰の剣」の役割を果たすのではなく、市民の権利と自由を守り犯罪を防ぐ使命を帯びる。

 残念ながら、下院選に対する抗議行動に際しての「法の番人」たちの行動は、「民警」の「警察」への完全なる脱皮について語るのは時期尚早であることを物語る。

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 労働者は時計を設定する=ロイター通信撮影

労働者は時計を設定する=ロイター通信撮影

「冬時間」へ移行せず 

 この日、モスクワ時間の午前2時、ロシア国民は、これを最後に時計の針を1時間進めて夏時間にした。ロシアでのサマータイム制導入は1917年7月1日のこと。今日、世界79カ国で実施されている。

 サマータイムに類するものとして、例えば、各職場で勤務時間をずらす方法がある(つまり仕事が夏場は早く、冬場は遅く始まる)が、ロシアでは今のところ採用されていない。

結果 

 10月30日、例年なら「冬時間」へ移行するはずだったこの日、多くのコンピュータやスマートフォンが、自動的に時計を進めて持ち主を困惑させた。職場へ遅刻する人も多かった。しかし、その一方で、冬場の日が長くなり、人体のバイオリズムの急激な乱れでストレスを被ることもなくなった。

 結局、サマータイムによる節電効果は証明されなかった。ロシア国民一人当たりの節電の額は、ひと月当たり8ルーブル以下にすぎない。さらに、鉄道をはじめ、交通輸送面に恒常的に問題が生じていた。

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ロシアNOW』日本語版創刊 

 この日、東京では、ロシア新聞を発行元とする読売新聞の折り込み紙『ロシアNOW』の創刊号が百万部発行された。プロジェクトの目的は、隣国ロシアで今起きていることを日本の読者にもっと知ってもらうこと。同紙は、ロシアの政治、経済、文化、日常生活におけるアクチュアルなトレンドを紹介しているほか、露日協力の分野における成果を報じ、国内および世界の動きに対する一流の専門家らのコメントを伝えている。書き手はみな独立系のジャーナリストたち。

結果 

 同紙の読者は日を追って増えており、質問や意見、様々な分野での協力に関する提案が編集部に寄せられている。

 最近、日本語サイト roshianow.jp も開設され、毎日更新されている。

 弊紙の読者の皆様に感謝申し上げます。来年も宜しくお願い致します!

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「ブルガリア」号沈没事故でたくさんの子供たちが死亡した=ロシア通信撮影

「ブルガリア」号沈没事故でたくさんの子供たちが死亡した=ロシア通信撮影

遊覧船「ブルガリア」号沈没事故 

 遊覧船「ブルガリア」号(定員140人)が、タタルスタン共和国のボルガ川で(首都カザンの南方80キロ地点)で沈没した。救助された乗客の証言によれば、船体が右舷側に急に傾き、3分間ほどで沈んだという。定員を大幅に上回る201人が乗っており、救助されたのは79人。

 ブルガリア号、二層甲板のタイプで、1955年建造。

 検察当局が、左側エンジンが故障したまま出航したことを明らかにするなど、ずさんな安全管理が指摘されていた。

 開いていた複数の船窓から水が流れ込んだことが事故の主な原因とされている。規則では、出航の際には船腹の窓は密閉しなくてはならない。

結果 

 大統領は11日に緊急閣議を開き、「船舶の安全確認を徹底する」ように指示。7月12日は、服喪の日と宣言された。船が沈没した場所に近い岸辺には、教会とモスクが建立された。

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 アレクサンドル・ソクーロフ監督=AP Photo撮影

アレクサンドル・ソクーロフ監督=AP Photo撮影

ソクーロフ監督の『ファウスト』に金獅子賞 

 第68回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に、アレクサンドル・ソクーロフ監督の映画『ファウスト』が出品され、最高賞を受賞。「観た者一人一人を永久に変える映画」との評価により満場一致でこの映画が選ばれた。

 『ファウスト』は、『モロク神』、『牡牛座』、『太陽』に続く歴史4部作の完結編。前3作は、それぞれヒトラー、レーニン、昭和天皇をめぐる物語だった。ソクーロフ氏によれば、4部作は円環をなしているので、『ファウスト』は始まりでもある。

 シナリオは、ユーリー・アラーボフ氏。映画はゲーテの悲劇の「自由な解釈」だ。撮影のためにプラハ郊外に町がまるごと建てられた。制作費は総額は930万ユーロ(9億3千万円)。

 ロシアが金獅子賞を受賞したのは、1962年のアンドレイ・タルコフスキー監督『イワンの幼年時代(邦題:僕の村は戦場だった)』、1991年のニキータ・ミハルコフ監督『ウルガ』、2003年のアンドレイ・ズビャギンツェフ監督『帰還(邦題:父、帰る)』。

結果 

 ソクーロフ監督の勝利は、今年のロシア映画界最大のセンセーションとなった。ロシアの映画監督アレクセイ・ウチーチェリ氏は、「この賞の意義はロシア映画にとって計り知れない」と言う。しかし、この映画の上映に関しては、今のところロシアより西側のほうが大きな関心を示している。

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アイスホッケーチーム「ロコモチフ」=タス通信撮影

アイスホッケーチーム「ロコモチフ」=タス通信撮影 

アイスホッケーチーム「ロコモチフ」の主力メンバーが航空機墜落事故で死亡

 ヤロスラブリのトゥノシナ空港で、地元のアイスホッケーチーム「ロコモチフ」の選手37人と乗員8人の合わせて45人を乗せた旅客機Yak-42が、離陸直後に墜落し、44人が死亡。

 州際航空委員会(独立国家共同体における民間航空を管理監督する執行委員会)は、パイロットらが離陸の際に誤ってブレーキペダルを踏んでしまい、飛行機は必要な速度に達することができず、滑走路のはずれにあった無線標識所のアンテナに衝突したとの結論を出した。

 ロコモチフは北米リーグと並ぶコンチネンタル・ホッケー・リーグ(KHL)のチームで、3度優勝している強豪チーム。

結果 

 「ロコモチフ」の潰滅は、最近数十年のスポーツ界で最悪の惨事となった。9月10日、ヤロスラブリの本拠地スタジアムでは、同チームの死亡した選手、コーチ、職員の告別式が行われ、およそ10万人が参列。遺族を支援すべくロシア全国で一連のチャリティーイベントが催され、追悼行事も営まれた。

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下稽古中=コメルサント紙撮影

下稽古中=コメルサント紙撮影

ボリショイ劇場の杮落とし 

 6年に及ぶ改修工事の後、オペラとバレエの殿堂、国立ボリショイ劇場本館のステージがついに幕を開けた

 956人が参加した改修の結果、劇場の面積は倍増して8万平方メートルとなり、ユニークな音響効果が復元された。6階建ての建物に匹敵する大きさの舞台は、ヨーロッパ最大となった。地下には、リハーサルホールや舞台装置の倉庫が新設された。インテリアの金メッキにはロシア全国から集まった156人の専門家が一年間たずさわり、981平方メートル覆うのに約4,5キログラムの金を費やした。劇場の改修費用は公式には約500億円だが、独占禁止委員会は実際はその倍はかかっているとみている。

結果 

 オープニングを記念し、過去の出し物の粋を選りすぐって、記念ガラコンサートが催された。メドベージェフ大統領をはじめ、内外から約1700人が招待された。劇団員のほぼ全員が出演し、5人のオペラ界のスターが客演。

 オープニングセレモニーの模様は、世界60カ国の映画館、テレビ局「ロシア1」、そして、インターネットで生中継された。当局はコンサートに1億2千万ルーブル(約3億円)を支出した。

 一般市民はオープニングの場を訪れることはできなかったが、改修の影響は身をもって味わった。劇場の下を走る地下鉄の振動がホールに悪影響を及ぼすので、11月に当該区域の地下鉄を一時運休させ、遮蔽板を取り付けたためだ。

 同劇場の次の演目は、バレエ『くるみ割り人形』と歌劇『カルメン』。

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模倣火星表面で労働=AP Photo撮影

模倣火星表面で労働=AP Photo撮影

実験「火星500」終了 

 火星への有人飛行を想定した実験「火星500」が無事終了した。

 ロシア人3人、フランス人、イタリア人、中国人各1人から成る国際クルーは、約550立方メートルの宇宙船を模した空間で、外界から隔絶されて520日を過ごした。食事も宇宙食のみ。

 クルーの隊長はロシア人のアレクセイ・シチョフさん。

 火星を模したモジュールもあり、「着陸」の間だけそこに入った。火星に「到着」したのは今年2月。

 実験の目的は、長旅が乗組員の活動能力や心身の状態にどんな影響を及ぼすか研究することだった。



結果 

 一年半にわたる実験の過程で、乗組員たちは、ストレスに対する耐性、精神力、不測の事態に巧く対処する能力を示した。「旅」のなかでは、飛行士たちが「火星の表面」へ出る実験を含め、100を超える科学実験が行われた。

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10~11月

モスクワの救世主ハリストス大聖堂の前に数キロの人の列が並んでいた=ロシア通信撮影

モスクワの救世主ハリストス大聖堂の前に数キロの人の列が並んでいた=ロシア通信撮影

「聖母の帯」拝観に約100万人

 聖母マリアが身につけたとされる帯が、10~11月の40日間、モスクワなど15都市で公開され、約100万人が拝観した。拝観希望者の列は一時4,5キロの長さに達し、最高で26時間待ちの大行列となった。

 帯は、聖母が訪れたとされるギリシャ正教の聖地アトス山(ギリシャ北部)の修道院で保管されており、子宝、安産などのご利益があるという。

 前代未聞の大行列には教会関係者も驚き、キリル総主教は「民衆のなかに保たれていた信仰を目の当たりにできた」と喜んだ。

 ソ連時代の無神論にもかかわらず信仰が保たれていた証、というのが教会関係者の見方だが、宗教学者ロマン・ルンキン氏(科学アカデミー・ヨーロッパ研究所)は「人々はもはや国家も役人も信じておらず、教会にも極めて批判的です。何も信じられずしかも先行き不安な状況では、人々は『奇跡』を待つしかないのでしょう」と分析している。

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「双頭」=ロイター通信撮影

「双頭」=ロイター通信撮影

国家会議選挙 

 第6回国家会議(下院)選挙が行われた。全国の投票率は60,2%(前回63.8%)。執筆時点での開票率は99%で、得票率は、与党「統一ロシア」が49,29%(前回64.3%)と大幅に減り、過半数を割った

 その分、共産党は19,20%(同11.6%)、極右、自由民主党は11,68%(同8.1%)、与党寄りの「公正ロシア」は13,25%(同7.7%)と、それぞれ得票率を伸ばした。

 西欧型民主主義を目指す「ヤブロコ」は3,43%で、議席が配分される5%に届かなかった。

 下院の議席配分はおおよそ次のようになる見込み。「統一ロシア」238、自由民主党56、共産党92、「公正ロシア」64。

 投票結果の公式発表は2011年12月24日までに行われる予定。

結果 

 ウラジーミル・チュロフ中央選挙管理委員長が「投票に不正はなかった」と確言したにもかかわらず、インターネットには、予め投票箱に票の束が入っていたり、与党の運動員が複数回投票するといった映像が流れ、市民の抗議の波が広がった。

 選挙翌日の5日には、複数の情報を総合すると、5千~7千人が都心で抗議集会を開き、不正選挙を糾弾。その翌日も、野党と与党、双方の支持勢力による集会が行われ、これまでに800人以上が拘束されている。10日には、モスクワで3万人の集会が開かれたほか、サンクトペテルブルクなど全国各地で抗議行動が行われ、状況は予断を許さないものとなりつつある。

 プーチン大統領時代に政党がオール与党化して以来、野党系の数千人の集会は初めてだ。経済危機が深刻化するなかで、不正選挙をきっかけに政権への不満が噴出したものとみられる。