フョードル・エメリヤーエンコ =Getty Images/Fotobank撮影
「人類最強の男」の異名をとるロシアの総合格闘家フョードル・エメリヤーエンコ( 35 )が 11 月 20 日、モスクワの「オリンピック・スタジアム」で米国のジェフ・モンソン( 40 )と対戦する。試合はM-1 Global トーナメントの一戦として行われる。
質素な超人
エメリヤーエンコはロシア南部の小都市、スタールイ・オスコルで生活している。トレーニングはランニング、腕立て伏せなど一見何の変哲もない。問題はその中身の濃さだ。
フョードルは第2代PRIDEヘビー級王者、初代WAMMA世界ヘビー級王者。2000年初めに総合格闘技に登場して以来、2009年まで名実ともに世界最強だった。
柔道とサンボの国際大会で活躍した後、総合格闘技に転向。組技と寝技に優れ、左右の圧倒的なパンチ力と連打、ヘビー級離れした運動神経とスピードを誇る。常に冷静で、ここぞというところで繰り出す動きと技のコンビネーションに相手は翻弄される。ディフェンス力にも優れ、容易にパンチを食わない。
ロシアでの試合は 2007年4月のサンクトペテルブルクで、米国のマット・リンドランドに一本勝ちして以来。
日本のファンが「ロシアン・ラスト・エンペラー」と呼ぶフョードルだが、昨年6月にファブリシオ・ヴェウドゥム(ブラジル)に事実上生涯初の敗戦を喫して以来3連敗しており、今回は「人類最強の男」の復活がかかっている。敗れたら引退必至と見られている。
ヒョードル のフットワーク/GnPのゼミ
相手は共産主義者
モンソンは、ザ・スノーマン(雪男)の呼び名をもち、通算 42 勝 12 敗。最近2年間で 14 試合をこなし 10 勝をあげるという驚異のスタミナの持ち主だが、昨年5月ほとんど無名のロシアの格闘家シャミール・アブドゥラヒモフに負けている。
総合格闘技 戦績
37試合 (T)KO 一本 判定 その他
32勝 8 16 7 1
4敗 3 1 0 0
無効試合 1
ブラジリアン柔術を修め、 26 戦を絞め技と関節技で勝っている典型的な寝技師。サンボの達人フョードルといえども、なるべく四つに組みたくない相手だ。
ちなみにモンソンは、極左思想の持ち主で、無政府主義者にしてアンチ・ファシスト。心理学修士の学位も持つインテリでもある。自分のツィッターに、「プーチン首相が記者会見に来てくれたら、『共産主義者』とプリントしたTシャツを着て、一緒に写真を撮りたい」と書いている。