反たばこキャンペーン価格は欧州の4分の1

=タス通信撮影

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 ロシア政府は、たばこの販売規制などで喫煙と断固闘う意向を示している。だが、市民の多くは、キャンペーンは支持しているものの、その実効性はマユツバだと思っている。たばこを売れなくなる零細小売店が打撃をこうむるだけとの見方もある。

 早くも今秋に議会は、喫煙規制法案を審議する予定だ。従来、この方面のロシアの法律は極めてたばこに優しく、喫煙は事実上いつでもどこでも可能で、販売規制が導入された場合でも、企業はそれをないがしろにしてきた。

 世界保健機関(WTO)の算定によれば、現在、ロシアの喫煙率は40%で、たばこの消費量でロシアは、いずれも人口がロシアを何倍も上回る中国、インド、インドネシアに次いで世界第4位(年間消費量はおよそ4千億本)。しかも、ロシアは欧州に比べて価格がはるかに手頃で、たばこ一箱の値段はヨーロッパが4ユーロなのに対し、ロシアは1ユーロにすぎない。

 保健省の計画では、早くも2013年にたばこは街頭の売店から完全に姿を消し、販売は大型商店に限定される。2014年からは、駅や空港、公共交通機関の停留所での喫煙が完全に禁止され、バーやレストランの喫煙コーナーも一掃される予定。集合住宅の玄関口でたばこを吸うためには、入居者全員の書面による事前の承諾が必要になる。

 夏に実施された世論調査によれば、全体として法案を支持する人は70%で、喫煙者でも賛成する人の割合は高い(およそ41%)。一方、回答者の55%は価格が倍になってもたばこをやめないと答えている。

 大手のたばこ会社は、保健省のもくろみを悠然と受け止めている。こうした改革はすでにヨーロッパの多くの国で経験済みで、反たばこキャンペーンが自分たちにとっては致命傷にならないことを知っているのだ。

 しかし、たばこを売れなくなる当の街頭の売店や露店はそうはいかない。これらの零細小売店では、取引高の50%がたばこなのだ。まさに死活問題であり、当然、保健省の計画に反対しているが、改革の支持者たちは、こんな「有害物質」のビジネスを国家が心配してやることはないと主張する。

 だが、改革反対派の論拠は零細ビジネスへの打撃にとどまらない。1980年代に政府は、アルコール飲料の販売を規制しようとして、かえって市場に密造酒が溢れる事態を招いたが、国立高等経済大学院・社会政策研究所のセルゲイ・スミルノフ所長は、そのシナリオの再現を懸念する。「中国からのたばこの密輸ばかりでなく、ひどい粗悪品を拵える非合法のミニ工場も出てくるでしょう。酒類で起きたのとまったく同じことが、生産設備のいっそう手軽なたばこでも起こりかねません」。