北朝鮮特別列車「ロシア新提案」でついにレール交換か?

北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記を乗せた特別列車が、またロシアにやって来た。 11 年前、金総書記がプーチン大統領(当時)に「ミサイル開発をやめてもいい」と発言し、後になって「あれはジョークだ」と説明したのを思い出す。それでもロシアは、半島問題の行き詰まりを打開する新構想を提案している。

北朝鮮の核問題が国際的な議題になった1990年代前半以後、解決の基本モデルは変わらなかった。外国から見れば、北朝鮮は常に異端児だとみなされてきた。世界社会主義の破綻後も生き残り、世界と近隣諸国にとって明らかに脅威であると。

北朝鮮側はといえば、事あるごとに、「気紛れなならず者」という評判通りの態度をとりつづけた。しかし、北朝鮮が周辺諸国を脅すのはもっぱら経済的な施しをかちとる手段だ、と米国と韓国が思い込んだのは誤りだった。

現在の解決策では、核放棄の代償として、北朝鮮に幅広い支援が約束されている。これは 15 年前ならまだ有効だったかもしれないが、1990年代末以後、アフガニスタン、イラク、リビアの末路を見た今となっては、北朝鮮は、核弾頭の存在は、取引上の小銭などではなく、不可侵の唯一の保障だと考えている。その結果、緊張は年々高まっている。

ロシアの提案は別のアプローチにもとづく。ロシアから朝鮮半島に通じるガスパイプラインの建設は、北朝鮮の立場を変えるだろう。ゆすりに似た食客という立場ではなく、地域プロジェクトのパートナーへと。これは、北朝鮮に対して、ガスだけでなくパイプライン通過料収入をも保障する。肝心なのは、経済相互依存システムに北朝鮮を引き入れる意味を持つことで、半島情勢の質的変換の出発点になりうる。

しかし、このシナリオ実現への道のりは多難かもしれない。第一に、相互の病的なまでの猜疑心から予想外の事態が生じかねない。第二に、これは韓国との良好な関係を損なうかもしれない。ガスプロジェクトは、もちろん韓国にとっても、政治的だけでなく商業的にも有利な話だ。しかし李明博(イ・ミョンバク)大統領をはじめ韓国指導部は、前政権の妥協政策を厳しく非難している。第三に、日本と米国がこういうアプローチをどう見るか、よく分からないことだ。東アジアでは、中国の影響力の増大にともない緊張が高まっており、米国は主導権を手放そうとはしないだろう。だが中国は、ロシア・プロジェクトに異議を唱えるはずがない。緊張を和らげ、自国が台頭しつつある現状を安定させることは是認できるからだ。

ロシアにとって北朝鮮プロジェクトは、アジアでの立場を強めうる数少ない現実的なチャンスの一つであり、この課題は、おそらく今後数年間の基本になるだろう。朝鮮半島においてロシアは全体としては中立的立場を誇示できる唯一の国だ。したがって特別列車は、これまでに敷かれてきたレールを、ついに交換することになるかもしれない。